第239話

前だけを見て、進んで
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2020/02/27 17:00
あなた…あなた…
お母…さ、ん…?
お母さん
あなた、凄いじゃん!頑張ったね、お父さんに褒めて貰おうね、

おか…さん…、何処に、いるの??



真っ白な空間、重い体。

突っ立っている事しか出来なくて、拳をギュッと握り締めながら問いかける。



お母さん、?
私、お母さんの姿が見えない…何処なの?!


お母さん
大丈夫、お母さんはここ。
お母さんの優しい声は確かにする筈なのに、姿が見当たらない。



お母さん?!


お母さん
あなたには見えていないのかぁ…残念。
でも、お母さんはずっとそばに居るからね。ずっと、見守ってるからね。

お母さん…、?



見えないお母さんの優しい笑みが、真っ白の何にも無い空間から感じ取れた。
お母さん
お母さん、嬉しいの。


『貴方の個性はきっと誰かを、誰かの心を助けてあげられるはず。だから、自分を嫌いになったりしないで。』



忘れないで、居てくれたんだね。嬉しい、嬉しいの、あなた…っ
お母さんの姿は見えないけれど、

私の身体が抱き締められたかのように温かくなった。


『ポロッポロポロッ…』

大粒の涙が目の縁から零れ始めた私は、

温かな空気に応えるかのように抱き締め返した。




あっのね、お母さん…私、守っ、たよ…大、事なもの…守った、っよ…、、


お母さん
うん、知ってる。



頑張っ、て、私の、こせ、いで、守ったん、だっ、よ…っ、



お母さん
うん。見てた。



でも、ねっ、私っ、駄目、だった…のっ、、ヘロ、インだけで、精一ぱ、い、で…ジッパー、まで…辿り、着け、なっく、てっ…


お母さん
うん。



せっかく、おか…っさんが、大切にしてっ、くれ、、たっ、身体…こんなふ、っうにしちゃっ…たっ…



お母さん
うん。



私、もう、…皆を守れっ、なっい"!




悔しかった。

皆の笑顔をこの先、守り続けられないのが分かっていたから。


皆の隣をきっと歩けない。



体がこんなに重い。

ずっと真っ白な空間の中で誰の声も聞こえなくて。

声も上手く出せなくて。


誰も、





私のこの空間をノックしてはくれない。
お母さん
ね、あなた…



お父さんとの約束、覚えてる?



お父さん…?



約束1、『要らない喧嘩、一方的にぶつかって来た喧嘩はしないこと』。


約束1、『誰かが困ってたり、苦しんでいたら助ける事』。


約束1、『個性は "もしも" の時しか使わない事』。
お母さん
ねぇ、あなた、充分に立派だよ。
お父さんもきっと鼻が高いよ。


『流石、俺の子だっ!』


って、褒めてくれる。



っ、



お母さん
だって、あなたはお父さんとの約束を守って、一生懸命戦って、


皆のヒーローになったんだから。



…っ、、、



お母さん
あなた。

あなたは自分の個性に立ち向かって、自分を好きになれたヒーローだよ。

凄く格好良いヒーローだよ。

だから…もう少し、もう少しだけ、、



頑張って。



む、無理だよっ、もう動けない、し、誰の声も出口も分からない!私は、もう、生きていけない…!




お母さん
大丈夫、ずっと見てるから。

ずっと、ずっと、貴女を見てるから…


だから、





前だけを見て、進んで…







─────── あなた。





✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚



こんにちは、

さくらどろっぷ.です🌸



次話で遂に最終話です✍️💭


長い間、お付き合い頂き、

誠にありがとうございました。



次話の連載は

2020/03/02の午前2時を予定しております。


続く『あとがき🍋』、

『the moon blooms.』にて

『完結報告』、『新連載のお知らせ』


を同時連載させて頂くので、

是非其方のチェックも宜しくお願いします。🙆🏻‍♀️💓






さくらどろっぷ.

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