第40話

助け人
21,321
2018/08/16 12:28
(…誰だろう、私を運んでくれてるの…)


私の視界が薄く開く。


(駄目だ…全然分からない…でも、この匂い…どこかで…)


甘い匂いが微かに鼻を通る。
しっかりとして、安定のある運び方に、私は安心したのか、また目を閉じた。



木…!木…奥さ…木奥さん!…木奥さん!
あなた

んっ…

緑谷 出久
木奥さん!
あなた

緑谷…くん?

目を覚ますと、そこは1度来た保健室だった。

閉じたカーテンの中、制服姿の緑谷くんが私の顔を心配そうに見つめる。
あなた

大丈夫だよ、緑谷くん。…せっかく、応援してくれたのに、爆豪くんに勝てなくてごめんなさい…

緑谷 出久
そんなこと全然いいよ!木奥さん、凄かったよ!初めての実習であそこまでかっちゃんと張り合えるなんて!
あなた

…ありがとう、優しいね。

私が笑うと、緑谷くんが照れる。
私はゆっくりと上半身を起こし、緑谷くんから視線を離そうとした時、
ちょこんとベッドの横に置かれた私の荷物に目が止まる。
あなた

緑谷くん、本当にありがとう!運んでくれたうえに、荷物まで持ってきてくれて(汗)

緑谷 出久
えっ、あ、それはかっちゃんが全部したことで、僕はここで木奥さんが目を覚ますのを待ってただけで…(汗)
あなた

…爆豪くん?、?

緑谷 出久
うん、クラスのみんなもびっくりしてた。かっちゃんが誰かを助けるなんて、僕もあんまり見たことなかったから…

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