第113話

生クリーム
12,926
2018/10/10 15:24




飯田くんとお茶子さんと別れた私たちは、電車をおり、帰り道を歩いていた。
あなた

楽しかったね〜。

緑谷 出久
うん!あなたさんって、甘いもの好きだったんだね。
あなた

うん、特にケーキが好き!でも、クレープは初めて食べたけど、とっても美味しかった!私の好物になったし〜、特にあのふわっとした空気が入ったクリームがなんとも

私がデクくんの隣でご機嫌で話していると、デクくんの口から笑い声が漏れる。
あなた

えっ、どうしたの?

緑谷 出久
いや、あなたさん、スイーツがもの凄く好きなんだね。それに僕が選んだクレープ、喜んでもらえて良かった!
あなた

…っ。

隣でふわっと笑うデクくんが、私の目に映った瞬間…
また何かが体の中で舞い上がる。


(まただ…あの時の…)


昨日の名前の時と同じだ。




彼から漂う暖かい雰囲気、



その笑顔がまるで…



さっきの…
あなた

生クリームみたい。

緑谷 出久
あなた

っ!!な、何でもない!

緑谷 出久
???
自分でも突然出た言葉に驚いた。
慌ててデクくんから目を逸らすと、視線を次は前に戻す。
あなた

…クレープ、選んでくれてありがとう、デクくん!

緑谷 出久
いえいえ!…そういえば、かっちゃんに連絡しなくて大丈夫?
あなた

あ!忘れてた!!!

緑谷 出久
や、やばいよ、あなたさん!
あなた

待ってね、すぐメールする!

私はメールをうって、勝己に送信するとまた歩き出した。

今朝に体を動かす為に来ていた公園が脇に来ると、ふと遊具エリアにあるブランコに目が移った。
緑谷 出久
あなたさん?
あなた

ちょっと、寄ってみてもいい?

ブランコに近づき、腰掛ける。
懐かしい感覚が私を襲った。

唯一、私が幼い頃に遊んでいたもの…それがブランコだった。
小さくて、寂しい場所にあったけど。
緑谷 出久
あなたさん、
あなた

何?

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