第68話

注射器
17,829
2018/08/25 14:14
それからはあっという間で、イレイザーヘッドは額から血を流し、腕も折られた。

私も被害はかなりのものだった。

軸足になる右足と左腕を折られ、体操服は体中から出血しているせいで真っ赤に染まっていた。
あなた

っ…

力もだんだん出なくなってきた。
その中で私はヘロインに折られた左腕を捕まれ、上に持ち上げられる。
あなた

う、あっ、…

ヘロイン
オマエ、スキ、ダ。オカゲ、デ、オレ、ガ、ツヨク、ナレ、タ。
私はそのワードで、ヘロインは私を追っていた個性・鼻の男ともう1人の男を合成した作品だ、という目星がついた。
ヘロイン
コレ、ヤル。ジッパー、サマ、カラ、ノ、プレゼン…ト。
あなた

そんなプレゼント、私には、いらないね。ゴミ箱にでも捨てといて、よ。

私の言葉に耳も傾けず、爪が鋭く尖っているその手で器用にポケットから取り出したもの…注射器だった。

それは長年私が見てきて、今は酷く嫌なものだった。
あなた

なんの、薬なの?!

ヘロイン
コセイ、キョウセイ、ゾウフク、ザイ、ダ。
あなた

そんなの、今、私にはいらないんだけど。

ヘロイン
ツヨク、ナリ、スギ、タ、オノレ、ノ、コセイ、デ、オマエ、ガ、クルシ、ム、スガタ、ガ、ミタ、イ、ンダトヨ。
注射器の針が私の二の腕に刺さってくる。
私の身体にひんやりとした液体が入ってくるのが分かった。

全てが入った時、ヘロインは雑に針を抜くと私を水難ゾーンの方に投げた。

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