第170話

轟焦凍 side
10,909
2019/08/03 23:52
鞄を肩に掛け直して、木奥のコスチュームの入った袋を抱える。
床に置いたまま、壁に添えてある青いバッグを更に手にすると、ふぅと息を吐いた。
轟 焦凍
ここだよな。
右も左も何も無い廊下が続いており、似たような部屋が幾つか並んでいる。

ふと、昨日の事を思い出す。
何故あんな事を言い出したのか、自分でもよく分かっていない。





※回想
飯田 天哉
誰か、明日、予定が無い者は居るか?!
切島 鋭児郎
どうしたんだよ?
飯田 天哉
相澤先生から木奥くんに修理が完了したコスチュームを届けるように言われてな…
蛙吹 梅雨
ケロ、飯田ちゃんがあなたちゃんに届けてあげたらどうかしら?
飯田 天哉
俺もそうしたいのだが、どうしても外せない用事があるんだ。
八百万 百
それで代わりに届けて下さる方を探してるのですね。
席に座り、机の上に鞄を置いて、帰り支度を進める俺の前で話が展開されていく。

残っているメンバーはかなり少なく、殆どは既に帰っていた。
上鳴 電気
あ、なら、皆で行ったら良くね?木奥、喜んでくれそうだし!
耳郎 響香
馬鹿っ!あなたちゃんは今、謹慎中であんまり人に会っちゃ駄目なんだから、そんな大勢で行ったら怒られるって。
緑谷 出久
僕も会いたいのはやまやまだけど、押しかけた僕らは勿論、多分あなたさんまでも怒られるんじゃないかな…(汗)
飯田 天哉
その通りだ。明後日、謹慎が解けるそうだが…
全員
フリーズしたかの様に、誰も声を発しなくなる。

しかし、その沈黙を飯田が「すまない、俺は今日も急がなくてはならない。帰らせて貰う。本当にすまない。」と言い残して走って教室を出て行ってしまった。

かなり時間が迫った状態であったのが、飯田の顔つきや走って出て行った事から伺える。
瀬呂 範太
それで、誰が行く?
耳郎 響香
女子が行こうか?その方があなたちゃんもビックリしないだろうし。

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