第153話

君が
11,423
2019/07/01 21:10
『ズザザザザサッ……』
…ん、…さん、あなたさん!!!
あなた

…?

良かった、間に合ったみたい。
デクくん、大丈夫?!間に合った?!
あなた

お、茶子さん…デ、クくん…?

座り込むデクくんの上に、私が乗っていた。
背中と膝の裏に手を回し、私の顔を覗き込む。
緑谷 出久
大丈夫?
あなた

っっ…!!!

デクくんの顔に沢山の汚れがついている。
どうやら私が落ちるのを見て、受けとめようと、必死に走って来てくれたらしい。
あなた

だ、大丈夫!!!

緑谷 出久
駄目だよ、あなたさん!じっとしてて。
デクくんが私の体に回す手に少し力を入れる。
あなた

わ、分かりました…

急に身体が熱くなり、体温が上昇してるのが分かる。

アドレナリンとパニックで痛みなんて、どこかに消えてしまいそうだ。
麗日 お茶子
私、相澤先生の所に行ってくる!
緑谷 出久
うん!麗日さんも気をつけて!
麗日 お茶子
はーい!
走っていくお茶子さんの姿が見えなくなって、再度デクくんは私の顔を覗き込む。
緑谷 出久
あなたさん、足と腕と…他に怪我してるところは無い?
あなた

う、ん…

フイッと向こうを向いて、右頬を人差し指でかきながら、フードを被る。

恥ずかしいのと、
こんな時にドキドキしてるのがバレるのが嫌なのと、
青い瞳のことがあってフードに手を掛ける。
緑谷 出久
あなたさん、
あなた

…な、んですか?

緑谷 出久
嘘、ついてない?
あなた

えっ

その瞬間、デクくんが私の顔を両手で挟み、デクくんの前へと向かせる。
あなた

?!

緑谷 出久
ほら、やっぱり血が出てる!
慌てて瞼を閉じた私の顔を見て、額から血が出てるのに気づく。
あなた

…////

緑谷 出久
あなたさん、嘘ついちゃダメだよ。
あなた

ご、めんなさい…

緑谷 出久
……この血…目からも出てるの?
(最悪だ…)
緑谷 出久
あなたさん、開けて。
あなた

い、嫌。

緑谷 出久
あなたさん?
あなた

だ、駄目!駄目なの!

緑谷 出久
あなたさん。
デクくんの私を呼ぶ声から真剣に心配しているのが伝わる。

私は目を開かずには居られなかった。

震えながら、ゆっくり目を開ける。
あなた

きっ…きっと、怖、がると思う…

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