私は煙の奥でゆらゆらと立ち上がる影から、一度、目を離す。
そして、私の後ろで震えている女優さんに振り返った。
周囲はザワザワとしたまま、一向に避難する感じは見れない。
そう言った私は視線を前に戻し、口角を上げた。
出会った時は憎いと思っていた彼とその言葉。
でも、手の届く範囲は全部助けるという志。
デクくんの記憶を覗き、彼とデクくんの関係、彼の限界を知るからこそ、
今はこの言葉の重みが分かる。
『トンッ』
前へと走り出した私は、1周回転しながら背のバッグをヘロインの顔面へと放り投げる。
その瞬間にヘロインの懐へと入った私は、地面を軽く蹴り、宙に浮いた状態でヘロインの顔面を蹴り上げる。
『ガンッ』
見事に直撃したヘロインの頭部は後ろに折れ、私は腹部の大きな目玉に一発殴り込んだ。
『パリンッ』
腹部の目玉には前と同じくビデオカメラ機能が付いていたようで、レンズの破片が腕や拳に刺さりまくる。
手袋をした拳から、そして殴り込んだせいで出来た腹部の目玉の穴から血が滴り落ち始める。
(オールマイト…、)
私は腹部に殴り込んだ拳が抜けなくなった事に激しく動揺する。
顔を見上げた途端、長い舌を出したヘロインの口角が上がり、口が開いてボロボロの牙達が見える。
(オールマイト、私、怖いよ。前は思わなかったのに、怖い…)
USJ事件の時は怖いなんて思わなかった。
でも、今は怖い。
死ぬよりも、皆の元から離れるのが嫌で怖くて仕方がない。
でも、もっと怖いのはここに居る人々が傷つく方がもっと怖いって、
思える様になったんだ。
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こんにちは、さくらどろっぷ.です🌸
今年も沢山の人に私の作品を読んで頂き、
ありがとうございました。
私はまだまだ未熟で、言葉のボキャブラリーも少なく、私の世界観では生きにくいと感じる人もいらっしゃると思いますが、
私の作品をここまで読んで頂き、ありがとうございました。🙇🏻♀️💭
今年もあと1時間半を切り(当時22:34)、遅くなりましたが、
皆さんが快く新年をお迎え出来る事を心より願っております。☺️💓
今年は大変お世話になりました。
皆さん、良いお年を〜👏🌷
さくらどろっぷ.
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。