第13話

相澤先生side
28,938
2018/08/03 21:54
相澤 消太
お前、どうしてここのヒーロー科に入ろうと思った。
それを聞いた理由は他でもなかった。
彼女
昨日、話した通りです。
彼女が昨日話した事。
それは俺にとっても、ここ(雄英)にとっても、いい話じゃなかった。





ーーー昨日

切島や緑谷達を帰らせた後、俺とリカバリーガールの前で彼女が切り出す。
彼女
もう一度言います、私をここに通わせて下さい。
相澤 消太
無理だ、話がいきなりすぎる。
彼女
これを聞いても、ですか?
全員
…、
彼女
ここ、狙われてますよ。
リカバリーガール
どういうことだい?
リカバリーガールが彼女に真剣な眼差しで聞き始める。
だが、俺は別にそうでもなかった。

次の言葉を聞くまでは。
彼女
ジッパー。この名前に聞き覚えは?
相澤 消太
リカバリーガール
ジッパー。
何年か前に起きた恐ろしい実験を繰り返し続けたという、犯罪科学者。
犠牲者はかなりの数に上り、死者もいるなかで、解放された者は全員個性をボロボロにされていたという。

捕まったものの、すぐに脱獄。
未だに捕まっていなかった。
リカバリーガール
まさか、あんたの深い腕の傷って、
彼女
はい、ジッパーに付けられたものです。
(腕の傷…?)

その目を察したかのように、彼女は裾を少しまくる。
そこにはギザギザと雑な傷跡があった。
相澤 消太
なるほど、逃げた後は新たな場所で実験してた、という事か。だが、今のままでは信用出来ない。何か証拠はないのか。
彼女は黙った。
少しして口が開く。
彼女
では、これをどうぞ。
が、肩から下げていた小さなバッグから、USBを取り出す。
彼女
これを見て下さい、ジッパーの書斎から手に入れたものです。何らかの手掛かりはあると思います。
少し傷の付いているUSBを俺は受け取る。
彼女
雄英が狙われている証明にはならないかもしれません。でも、その中にはジッパーの研究記録の一部が入っています。
相澤 消太
分かった、この事を警察に話すのは駄目か。
彼女
大丈夫です。
リカバリーガール
あんた、一体
彼女
…ジッパーから追われている身です。ジッパーの方に気付かれたらすぐにここを出ます。
彼女は視線を落とした。
俺は納得しながら、次の言葉を待つ。

(なるほど、警察で保護してもらうよりも、雄英の方がセキュリティが安全って訳か。)

だが、結論は彼女とは違う。

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