ーー3日目。
今日も夕方頃に扉をふと開けると、青いバッグが昨日と同じ場所に添えられていた。
中身はまたもやノート類だった。
昨日、付箋の余白に感謝のお礼として返事を書き、どうしたら良いのか分からなかったので元の場所に戻しておいた。
早朝に見るとバッグは無くなっており、夕方頃になるとまた置かれていた。
(誰なのかな?昨日の返事、来てたりして。)
ノートの表紙に貼ってあるであろう付箋を探す。
案の定、最後のノートの表紙にあった。
『悪かった』
昨日の返事に私は
『ありがとう、助かりました。謹慎が解けた後、顔合わせてお礼を言いたいんだけど、誰なの?』
と、書いた覚えがある。
(それとも教えたくなかったのかなぁ…?)
でも、昨日の『写せ』とか今日の『悪かった』とか…思い当たらない人物が居ないわけではない。
私を気にかけてくれて、家に招き入れてくれた人。
ぶっきらぼうで、少し不器用で、優しい人。
初めての実習の後、勝己は倒れた私に午後の授業分のノートを貸してくれた。
勝己も字が綺麗。けど、この字は綺麗だけど不思議と癖がある気がする。
ここ数日の出来事を振り返っても、全く誰かに悪い事をされた記憶は無い。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。