第166話

3日目、『悪かった』
10,603
2019/08/02 10:48
ーー3日目。

今日も夕方頃に扉をふと開けると、青いバッグが昨日と同じ場所に添えられていた。

中身はまたもやノート類だった。

昨日、付箋の余白に感謝のお礼として返事を書き、どうしたら良いのか分からなかったので元の場所に戻しておいた。

早朝に見るとバッグは無くなっており、夕方頃になるとまた置かれていた。


(誰なのかな?昨日の返事、来てたりして。)


ノートの表紙に貼ってあるであろう付箋を探す。
案の定、最後のノートの表紙にあった。



『悪かった』
あなた

『悪かった』?どういう事?

昨日の返事に私は



『ありがとう、助かりました。謹慎が解けた後、顔合わせてお礼を言いたいんだけど、誰なの?』



と、書いた覚えがある。
あなた

…まさかの無視…?

(それとも教えたくなかったのかなぁ…?)


でも、昨日の『写せ』とか今日の『悪かった』とか…思い当たらない人物が居ないわけではない。

私を気にかけてくれて、家に招き入れてくれた人。
ぶっきらぼうで、少し不器用で、優しい人。
あなた

勝己…とか?

初めての実習の後、勝己は倒れた私に午後の授業分のノートを貸してくれた。
あなた

でも、勝己の字ってこんな感じだったっけ?

勝己も字が綺麗。けど、この字は綺麗だけど不思議と癖がある気がする。
あなた

本当に誰?それに『悪かった』って何だろ…?

ここ数日の出来事を振り返っても、全く誰かに悪い事をされた記憶は無い。
あなた

明日、張り込んでみるか。

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