第116話

爆豪 勝己side
12,963
2018/10/23 20:06
別になんでも無かった。

昨日の放課後までは。
あなた

えっと…今日はその…先着が居まして…

爆豪 勝己
…はぁ?
俺の「帰んぞ。」という言葉の後に告げられたあなたの言葉。
あなた

帰りに私とお茶子さんと飯田くんと…デクくんと寄り道して帰ろうって誘って貰ってて…

爆豪 勝己
何にも言えなかった。
あなた

行ってきてもいいかな?

なんとなくだが、行かせたく無かった。
けど、あなたが、どうしても行かせて欲しいというような顔をしたから。

それを潰す勇気は、俺にはその時湧かなかった。

けど、行かせたら、俺から少し遠ざかるような気がして…
爆豪 勝己
…分かった。その代わり、遅くなる前に帰るつもりにしとけよ。


早く帰ってこい。



そんなくだらねぇ願いをこの言葉に込めて、あなたに伝える。

けど、俺が迎えに行った時にあなたとデクの姿を見て、どこかで気がついた。
爆豪 勝己
やっぱり、行かせるんじゃなかった。
そう思うばかり、口から思わず漏れた。

楽しそうに今日の事を話すあなたの隣で、俺は気づいてしまった。

俺が最初に助けた。
俺があなたと誰よりも1番長く居る。
俺の方が誰よりも先に名字で呼ぶ仲になってる。

けど…クソナードの方があなたを笑顔にしていた。

クソナードの『あなたさん』と呼ぶ声が、離れなくなる。

だから…本当は違うって言って欲しくて、
爆豪 勝己
あなた、お前、クソナードの事が好きなのか。
そんな事を言ってしまった。
あなた

…多分、そうなのかもしれない。

けど、返ってきたのは曖昧な返答で。
俺は余計に…傷ついてしまった。

結局、昨日は寝る前の『おやすみ』でさえもぎこちなく、あなたの顔も見に行けなかった。

だから、朝も何故か話しかけにくくて、
あなた

おはよう、勝己!

爆豪 勝己
おう、
そんな素っ気ない反応しか出来なかった。

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