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夕方、勝己が私にソフトクリームを買ってくれた。
2人でショッピングモールの近くの公園のベンチに腰掛け、皆の私の謹慎の間の様子について話した。
勝己はソフトクリームを食べる前から何処か不機嫌で、どうやら私が怒らせてしまったらしい。
(はしゃぎすぎたかな…楽しすぎてハメ外しすぎた…?)
夏に近いため、日が暮れるのが遅いもののあっという間に一番星が見える暗さになってしまった。
勝己からソフトクリームのゴミを受け取ると、公園のゴミ箱に捨てに行った。
その時に気づいたのだが、公園には私と勝己しかいなかった。
(まぁ、この暗さだからね…子ども達が帰る時間だからね…)
戻って来ると、勝己は買い物袋を傍らにベンチに座ったまま下を向いていた。
勝己は自分の前に指を指すと、「来い。」と言った。
言われた通り、勝己の前に立つ。
そっとしゃがむと、勝己の顔を見上げる。
やはり勝己は私よりも随分大きい、と改めて感じた。
勝己が何を言っているのかも、どういう意味なのかも分からない。
(本当にどういう意味なのか分からない…。)
私はしゃがんだまま、「ははは…」と苦笑した。
迷いながらも目を閉じる。
(人の言うことを聞く事に言ってるのかな…?)
かなり大きなため息が聞こえて、勝己の匂いが近くなった。
首に何かが触れて少しこそばゆかったが、じっと我慢する。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。