けど、私の視界に映るデクくんは怖がったりなんてしなかった。
また、あのふわっとした笑顔を私に見せる。
体温の高騰が止まらなかった。
私は慌ててそっぽを向いて、少し早口になって「ありがとう。」と言った。
凄い速度で脈打つ心臓が無駄にうるさい。
皆を怖がらせないようにする為、適当に誤魔化そうとは思って、勝己(には悪いけど)の爆破の破片って事にしようと思っていた。
けど、確かにデクくんに言われてみると、確かにそうだ。
不自然すぎる。
てなわけで、この誤魔化しは使えない。
(どうしようかな。)
デクくんが私の体に回していた手を離す。
私は片手を木の幹に置いて、体を支えながら立つ。
足の裏がキリキリ痛むのと、立ちくらみが酷い。
目の前にしゃがんだデクくんが居る。
「かっちゃんには及ばないと思うけど…」と、微笑を私に向ける。
(デクくんが鍛えてるのは勿論知ってるけど、、)
落下する私を受け止めてくれた時、意外とって言うのは良くないけど、凄くしっかりしてる体だった。
(それだけじゃなくて…手袋、私、今つけてないんだよなぁ…)
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。