第175話

全部言え。
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2019/08/12 12:18
あなた

…只の女子高校生。

轟 焦凍
あ?
あなた

ヒーロー志望で雄英高校に編入してきた、1-A、木奥あなた、

轟 焦凍
そんな事聞い
あなた

轟くんが聞きたいのは分かるよ。怪しいもんね、私。

私はいつも通り、淡々と適当にそれらしい事を、右頬を人差し指で掻きながら述べていく。
あなた

でも、何もないよ。だから、気にしなくていいっていうか…勿論、個性を使わなかった事は申し訳ないって思って

その瞬間、私の視界は天井を向いていた。
身体が『ドンッ』とまた叩きつけられた。



節々が軋むように痛い。

私の両手首を掴んだ轟くんは、私の上に乗るような感じで私の身体を跨いでいた。

何が起こったのか、理解するのが遅れた。

私の身体は床へと押し倒され、真上に居る轟くんの目は前髪で隠れて、どんな目をしているか分からない。

分からない状態の中で、轟くんが口を開いた。
轟 焦凍
そんな事は聞いてねぇ。
あなた

轟 焦凍
お前が隠してる事、全部話せ。
あなた

だから無いよって

轟 焦凍
個性、お前の身体、謹慎…
あなた

轟 焦凍
お前、実習の時に俺に何かしたよな?
あなた

轟 焦凍
お前の個性が瞬発力じゃないって事はもう分かってる。
あなた

っ…

轟 焦凍
全部言え。
身体を強く揺すぶられる。
轟くんの口調が強くなって、怖くなった。

ただ、目の前の轟くんを怖いと感じてしまう。
轟 焦凍
話せ!
『ビクッ』


大きな声が部屋中に響き渡る。

いつも冷静で、静かに話す轟くんから出る大声とは思えないからだろうか。

私の口はぐっと力を入れて閉じなければ、細かく震えてしまいそうだった。



身体が硬直する様に動けなくなっていく中で、やっと、轟くんの顔が見えた。

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