第105話

あだ名
14,081
2018/09/12 11:52
あなた

いいの、いいの!それよりも、木奥さんって距離感じるな〜。

緑谷 出久
そうかな、
あなた

あ、じゃぁ、木奥さんじゃなくて別の名前で呼んでよ!

緑谷 出久
別の名前…
あなた

うん、私が緑谷くんの事をデクくんって呼んでるみたいに。

電車をおり、駅の改札を通っても、デクくんは少し悩んだ。
私はそれを横目に入れてフフッと笑ってしまう。
あなた

決まった?

緑谷 出久
いや…その…1つしか思い当たらなくて…自分でも呼んでいいのか…
あなた

いいよ、いいよ!距離を縮められたら嬉しいもんっ

緑谷 出久
………あなたさん、
あなた

へ、

その瞬間、ぶわっとした何かが体の中でざわめく。


(あなた…さん…、)


何度か頭の中で響いた。
私の前には顔を下に向けて、少し照れた様子のデクくんが居る。

私がぽかんとしていたのか、それとも反応が無かったからなのか、慌ててデクくんがフォローに入る。
緑谷 出久
ごめん!その、女子にあだ名付けるとか分かんなくて!蛙吹さんがよく名字を指定するからその、
あなた

いいよ、全然!むしろ、なんだろう、嬉しい!デクくんと少しでも仲良くなった気がする!

『パラッ…』

私の返答の直後に眼帯の耳にかけていたゴムが外れる。
私は慌てて目を押さえて、ゴムをかけようと試みた。

だが、どうやらゴムが切れたらしい。
それは叶わなかった。
緑谷 出久
あなたさん、大丈夫?

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