第9話

残したい言葉 晴人目線
348
2021/03/02 01:53
今日も景色はいつもと同じ。
何も変わり映えのない日々を過ごしていた
だが
僕は知っている。
こういう日々こそ前触れもなく急に崩れるのだと。
だから。
掃除をしに来ていたナースさんにこう言った
晴人
晴人
…紙とペン…ありますか?
看護婦
…(察)はい、ありますよ
看護婦
どうぞ
晴人
晴人
ありがとうございます
僕は苦手だった「文字」に、
今の辛さ
悲しみ
死への恐怖
全てを委ねた
そうして気持ちを連ねた紙を小さく折り曲げて
担当のナースさんに渡した
晴人
晴人
これ…あの、僕がいなくなったらあのいつもの2人に渡してください
看護婦
わかりました、お預かりします
晴人
晴人
…死にたくない
ボソッと呟いた声は、誰にも聞こえていなかった

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