̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_____歩けますように。
鳥居を抜けると、ふいに空気が変わった。
雨の音が、ぷつりと途切れた。
目を開くと__そこは青空の真ん中だった。
彼女は強い風に吹かれながら、
空のずっと高い場所に浮かんでいた。
いや、風を切り裂いて落ちていた。
聞いたこともないような低くて深い風の音が周囲に渦巻いていた。
息は吐くたびに白く凍り、
濃紺の中でキラキラと瞬いた。
それなのに、恐怖はなかった。
目覚めたまま夢を見ているような奇妙な感覚だった。
足元を見下ろすと、
巨大なカリフラワーのような積乱雲がいくつも浮かんでいた。
一つひとつがきっと何キロメートルもの大きさの、
それは壮麗な空の森のようだった。
ふと、雲の色が変化していることに彼女は気づいた。
雲の頂上、大気の境目で平らになっている平野のような場所に、
ぽつりぽつりと緑が生まれ始めている。
彼女は目を見はる。
それは、まるで草原だった。
地上からは決して見えない雲の頭頂に、
さざめく緑が生まれては消えているのだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。