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第10話

デート当日
百合花
百合花
春奈ちゃん、こっちこっち!
春奈
春奈
ごめんー、遅くなって!
駆け足で百合花の元へと向かったせいで、あたしの息は荒い。

思わず膝に手をついて息を整えた。
百合花
百合花
全然大丈夫。陽太くんも先輩もまだ来てないよ
春奈
春奈
先輩は部活で遅れてるらしくって、今向かってるってさっき連絡もらったけど、陽太はまだ来てないんだ?
百合花
百合花
うん……陽太くん、本当に来るのかな?
春奈
春奈
大丈夫、絶対来るよ、あいつの事だから
百合花
百合花
それなら、いいけど……
……とは言ったとのの、ちょっと不安。

昨日陽太は結局あたしのクラスに一度も顔を出さらかったから、あたしから陽太のクラスに今日の事を伝えに言くはめになった。

けど、陽太ってば心底素っ気ない態度だし、半ば強引に来るよう説得したから、正直来るっていう確証はない。

でも、今日の計画を話してるから、陽太は来るはず。


その計画とはこうだ。

あたしは元々百合花と映画を観る約束してチケットも購入してたにもかかわらず、それをすっかり忘れて先輩と別の映画を観る約束をしてしまった。

しかもダブルブッキングしてると気づいたのは昨日で、その地点で先輩ももう映画のチケットを購入済だった。

映画は別の作品だけど、時間が被ってるからどっちもキャンセルができなくて、しかも前日だから他の友達が見つからないから陽太にあたしの代わりに百合花と映画を観てもらうようにお願い……という流れ。

陽太がこなければ百合花は一人になるし、申し訳ないから絶対来て! って押しに押しまくって、陽太はとりあえず了承してくれたけど、問題はあの態度だ。

今まであたしに怒ったりイライラを向けられた事が無かったのに、昨日の陽太はほとんどあたしとは目も合わせず、会話もしようとしなかった。

どちらかといえばそれはあたしがいつも陽太にする態度だから、なんていうかそういう態度を取られると物凄くイライラするし、ちょっと複雑だった。
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃん、ごめん遅くなった!
春奈
春奈
健先輩♡
大丈夫です、あたしも今着いたところなので
先輩があたしの為に走って来てくれた。それだけで十分です。

あたしはそう思いながら鞄の中からハンカチを取り出した。
春奈
春奈
先輩、汗が……♡
健 先輩
健 先輩
あっ、ごめん。自分で拭くよ
そう言いながらもあたしが先輩の顔にハンカチを押し当てると先輩は目を閉じてそれを受け入れてくれている。
春奈
春奈
いいんです、あたしに拭かせて下さい♡
よし、この感じなら今日こそこの間のキスの挽回が出来るかも……。

今日こそファーストキスを!!

そんな邪な考えを、目を瞑った先輩の顔を見ながら思った。
健 先輩
健 先輩
じゃあお言葉に甘えちゃおうかな
あたしは思わず鼻をつまんで顔を上げた。

可愛い笑顔でそんな事を言う先輩にあたしの鼻血はスタンバイ万端だ。

それにしても先輩は、汗がキラキラ光って、王子様度が増している気がする。

何気なく辺りに視線を泳がしてみると、道行く女子の視線は完全に先輩へと向いていた。
春奈
春奈
(どうだ、あたしの彼氏はカッコいいだろ。先輩はあたしの彼氏なんだからカッコいいって思ったところで無理だからね)
なんて、事を思ったり。

でも先輩に視線を向けてる女子は間違いなく、先輩をそういう目で見ているはずだ。

なにせ先輩はアイドル顔負けの顔立ちで、実際に有名な某アイドル事務所のスタッフに街中でスカウトされた事があるくらいだ。

芸能界に良いイメージがない先輩の家族に反対されたから返事をしなかったって、先輩も言ってた。

でも家族の反対がなければ先輩もまんざらではなさそう。
百合花
百合花
ラブラブですね。ごちそうさまです。独り身の私には毒ですが
百合花はそう言いながら、うふふと笑った。
春奈
春奈
やだ、ラブラブだなんて!
確かにラブラブなんだけど!
あたしは百合花の腕をバシバシと叩いた後、先輩の腕にあたしの手を滑り込ませた。

すると先輩は笑顔であたしの腕をギュッとホールドしてくれた。

ああ、なんて幸せなんだろう。
健 先輩
健 先輩
それより、もうすぐ映画が始まるな。アイツまだ来てないのかよ?
先輩はちょっと不機嫌な様子で辺りを見渡した。
百合花
百合花
春奈ちゃん、もし陽太くんが来なかったら二人で映画観てきてね。私は大丈夫だから
百合花がこそっとあたしにそんな耳打ちをしたちょうどその時だった。
陽太
陽太
俺ならここにいますけど、先輩目が悪いんじゃないですか?
春奈
春奈
陽太!
百合花
百合花
陽太くん、来てくれたんだ!
あたしの背後からぬっと現れた陽太に、あたしは警戒したけど、陽太はあたしには目もくれず、百合花の隣に立った。
陽太
陽太
ごめんね、遅れて。もう映画始まるからさっさと中に入ろうか
そう言って陽太はスタスタと映画館の入り口へと向かった。
春奈
春奈
おいおい待て待て!   あたしと先輩には謝りなしかい!
陽太
陽太
……
陽太は振り返りもせず、あたしの言葉も聞こえないフリ。
春奈
春奈
(くっそー、ムカつく!   陽太のくせに!)
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃんあいつは放っておいて、俺たちも中に入ろう。俺たちの映画の方が上映早いみたいだし
春奈
春奈
はい♡
陽太なんてなんでも良いや。あたしは先輩と楽しく映画見るんだから。

先輩とラブラブなところを見せつけられなくて残念だけど、そんな事はこの際どーでもいい。
百合花
百合花
あっ、じゃあ春奈ちゃん、健先輩、また後で!
百合花はそう言って陽太の後をついて映画館へと入って行った。