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第11話

映画の後で
健 先輩
健 先輩
期待してなかったけど、あの映画、結構面白かったね!
春奈
春奈
そうですね……
映画、めちゃめちゃアクションで、正直そんなに面白いと思わなかったけど、それより何より、あたしは映画に集中できなくて、内容ほとんど覚えていない。
健 先輩
健 先輩
どうしたの?   疲れちゃった?
春奈
春奈
あっ、いえ、そんな事ないです!
あたしがそう言うと、先輩はそっとあたしの手の中に先輩の手を重ねるように滑り込ませてきた。
健 先輩
健 先輩
あの二人はまだ出てきてないみたいだね。この後どうするの?
春奈
春奈
そうですね、二人が出てきたらどこかでお茶か、少し早いですが、ご飯とか……
健 先輩
健 先輩
俺は、できれば早く二人きりになりたいな
そんな甘い囁きをしながら、先輩はあたしに額をコツンと合わせた。

……と同時にあたしは息を飲んだ。
健 先輩
健 先輩
ははっ、そんな固まらなくても、こんな公の場でキスなんてしないよ。春奈ちゃん、可愛いね
春奈
春奈
あっ、あははっ……
そんなつもりは無かったんだけど。

というかそうじゃないんだけど、まぁ、いいや。
健 先輩
健 先輩
でも、そろそろ我慢も限界だからね……
そう言って、先輩はあたしの髪にキスをした。

……と、その時だった。
健先輩の友達①
健先輩の友達①
おっ、健じゃん!
あたし達が出てきたばかりの映画館から出てくるたくさんの人並みの中で、二人組の男性が先輩に声をかけた。
健先輩の友達②
健先輩の友達②
あれ、もしかしてお前も映画見てたの?
健 先輩
健 先輩
おー、お前らも見に来てたのかよ。男二人で映画とはなかなか寂しい奴らだな
健先輩の友達①
健先輩の友達①
嫌味かよ!
そういうお前は……あれ?
彼女?
彼女と言われてあたしは背筋をシャンと伸ばした。

この二人、確か学校で見たことがある。健先輩と同じ学年の先輩達だ。
春奈
春奈
はっ、初めまして。健先輩とお付き合いしてます!   宜しくお願いします!
健先輩の友達②
健先輩の友達②
ははっ、宜しくだってよ
顔が赤くなってくるのを感じる。

彼女って言葉を聞いて、思わずテンパって変な自己紹介してしまった事を既に後悔してる。
健先輩の友達①
健先輩の友達①
……あれ、この子って
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃん、ちょっと俺トイレ行ってくるから待ってて
春奈
春奈
あっ、はい、分かりました。あたしはここで陽太と百合花を待ってますね
健 先輩
健 先輩
おら、せっかくこんなとこで偶然会ったんだ、お前らもちょっと付き合え
先輩が友達に軽く蹴りを入れながら、二人を連れて再び映画館の中へと入っていった。
春奈
春奈
(やっぱり健先輩はかっこいいな……)
他の二人と勝手に比べてそう思いなおし、あたしは意を決した。

今日こそ何があってもキスをする、受け入れる、と。
春奈
春奈
(ファーストデートでファーストキスを失う……ロマンチックじゃん♡)
先輩もあまり焦らさせるのはダメみたいだし、ここは思い切って。

そんな決意を胸にあたしが握りこぶしを作って気合いを入れていたそんな時だった。
百合花
百合花
春奈ちゃん、お待たせ!
ごめんね、遅くなっちゃって
百合花は急ぎ足であたしの元へとやって来た。
春奈
春奈
ううん、全然。百合花の映画の方が始まるの遅かったもんね。どうだった?
百合花
百合花
うん、楽しかったよ。春奈ちゃんも多分好きなだと思うな。素敵なラブロマンスだった
春奈
春奈
いやいや、そっちじゃなくて、陽太との方だよ……って、陽太は?
百合花の姿は見えるけど、陽太の姿はどこにもない。

さては映画が終わったから約束は果たしたとか言って帰ったとか……!?

それだと困る。約束は果たしたけど、ここからが本番なのに。
百合花
百合花
陽太くんはトイレに行ったけど、まだ出て来てない?   私もトイレ寄ってたから先に出て来てると思ったんだけど……
あたしと百合花は辺りを見渡した。

陽太は帰ったのかもって一瞬思ったけど、もし陽太が帰ったとしたら、この出口を出るはずだし、そこにはあたしがいるんだから陽太が出てきたのなら気づいたはずだ。

だから、陽太はいるはず!
春奈
春奈
アイツうんこでもしてるんじゃない?
女の子待たせてうんことかほんと陽太ってば……
陽太
陽太
誰がうんこしてるって?
そうこう噂をすれば出てくる。なんてタイミング。
百合花
百合花
陽太くん良かった。帰っちゃったかと思った
陽太
陽太
待たせてごめん。トイレが混んでたんだ
百合花
百合花
そうだったんだ
百合花はほっとしたように微笑んだ。
春奈
春奈
混んでたなんてよく言うよ。うんこしてた事隠したいだけの嘘だから信じちゃだめよ
陽太
陽太
じゃあ僕は帰るから。あとは皆んなで楽しんで
陽太は再びあたしの方には振り向きもせず、百合花にだけそう言った。
春奈
春奈
待った!   これからみんなでご飯でも行こうよ!   せっかく出てきたんだしさ
陽太
陽太
……百合花ちゃん、春奈ちゃんに伝えておいて。僕は映画を観に来る約束は守ったから帰るって
百合花
百合花
えーっと……
春奈
春奈
こら、ここにその春奈ちゃんがいるでしょーが。ちゃんと面と向かって言いなさいよ!
あたしは陽太の腕をしがみつくように掴んだ。

すると陽太はさめざめとした視線を向けて、こう言った。
陽太
陽太
僕、バカ女とは話したくないんだよね
春奈
春奈
……!?
それ、あたしに言ってんのか!?

ついこないだまであたしの事好きだとか、ストーカーまがいなことまでしてた奴が!
百合花
百合花
えーっと、それなら私も帰ろうかな……
春奈
春奈
えっ、百合花も?!
あっ、でもこれはチャンスかも!

そしたら陽太は百合花を送って二人きりに出来るし、あたしは先輩と……♡
陽太
陽太
せっかくだから百合花ちゃんは……
春奈
春奈
そーね!   百合花は門限早かったよね!   もう日も暮れてきたし、陽太、ちゃんと百合花を送ってあげなさい!
そう言って掴んでいた陽太の腕を離して、代わりに背中を叩いて百合花の隣に立たせた。
陽太
陽太
なんで春奈ちゃんにそんな指図されなきゃなんないの?
春奈
春奈
あーら、バカ女とは話もしたくなかったんじゃなくて?
陽太
陽太
それ、自分はバカだって認めてる事になるよね?   バカだね
春奈
春奈
うっさい!
あたしは再び陽太の背中を押した。
春奈
春奈
さっさと帰れ!
陽太
陽太
言われなくてもそうするよ。百合花ちゃん、行こうか
百合花
百合花
あっ、いいの?
陽太
陽太
駅まで一緒だからそこまで一緒に帰ろう
百合花は顔を輝かせて陽太の隣を歩き出した。
春奈
春奈
百合花、またね!
あたしが百合花に手を振ると、百合花は一度振り向いて、手を振り返してくれた。

あたしは心の中で頑張れってエールを送りながら、二人の後ろ姿を見守った。
春奈
春奈
(お似合いじゃん)
百合花が道路側を歩いていたけど、陽太はそっとさりげなく百合花と歩く立ち位置を変えて、道路側へと立った。

……陽太はそういうとこちゃんとするよね。なんて思いながら、どこか寂しさに似た気持ちが心の中をすぅーっと通り抜けた気がして、あたしは首を振った。

一番近くて、一番長い付き合いの幼なじみ。

百合花の隣に立つ陽太の背中は、どこか知らない人にも見えて、あたしはその背中から視線を逸らした。