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第8話

キス未遂
春奈
春奈
陽太が失礼な言い方してすみませんでした
校庭に着いて、あたしは先輩に向かって振りかぶる勢いで頭を下げた。
健 先輩
健 先輩
なんで春奈ちゃんが謝るの?
春奈ちゃんが謝る事じゃないでしょ
春奈
春奈
でっ、でも、陽太は曲がりなりにもあたしの幼なじみなので……
しかもあたしのせいで陽太が先輩に絡んでああなったのだから、申し訳ないという気持ちがどうしても湧いて出てくる。

だけど、先輩はそんなあたしを一瞥いちべつした後、こう言った。
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃんが他の男の事を考えてるなんて、いくら幼なじみだとはいえ、妬けるな……
春奈
春奈
えっ
ふいっと顔を背けた先輩に、あたしは胸の奥でもぞもぞと何かが這い上がってくる感覚を抑えられずにいた。
春奈
春奈
(うそっ、先輩それって陽太にヤキモチ妬いてくれてるってこと?!   あの先輩があたしのために……!?)
夢のようだと思った。

ずっと憧れていた先輩が彼氏だって事も夢じゃないかって何度も思ったけど、これは現実離れして起きている。

だけど、これも全部夢なんかじゃないんだ。

だって目の前にはヤキモチ妬いて可愛くふてくされている先輩の姿があるから。

夢ならこんな事想像すらできないと思う。
春奈
春奈
(やば、嬉しすぎて鼻血でそう……)
健 先輩
健 先輩
いい?   春奈ちゃんは俺の彼女なんだからね。今後はあいつの事なんて話さないで
春奈
春奈
先輩がそう望むのならば……♡
陽太なんてむしろどうでもいいし。

けど、先輩がこんなに妬いてくれるのなら陽太には感謝くらいしてもいいかもね。

陽太に感謝なんて、あたしの人生で最初で最後だけど。
健 先輩
健 先輩
本当は……できるならあいつと話して欲しくもないんだけど……。
なんて、独占欲強すぎて引くよね
ははっと、力なく笑う先輩に、あたしの心臓はドキュンという凄まじい音を奏でた。
春奈
春奈
そ、そそそそそ、そんな事は、絶対にないです!
むしろ先輩になら縛られまくったっていい……!!
春奈
春奈
先輩にそんなに愛されて、あたし天にも昇っちゃう勢いですから!
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃん……
校庭のベンチに座るあたし達。先輩はあたしとの距離を更に縮めて座った。
健 先輩
健 先輩
俺ずっと、春奈ちゃんの事が気になってたんだ
そんな甘い言葉を言いながら、先輩はあたしの結んだ髪の先をひと束取ってそこにキスをした。
春奈
春奈
(鼻血……!)
あたしは慌てて顔を上に向けた。鼻血が出てきそうで血の匂いが鼻腔内に広がったから。
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃんと付き合えて嬉しいんだ
春奈
春奈
せっ、先輩……♡
上に向いたせいで、背の高い先輩を見上げる形となった。

でもそれはキスして欲しいと迫っているように捕らえられなくもない。

現に先輩はあたしの髪を離して、徐々に顔の距離を縮めてくる。
春奈
春奈
(やばっ、本当に夢見たい。先輩に思われてたなんて……)
いつから先輩はあたしの事好きでいてくれたんだろう……?

聞きたいけど、今聞いたらこの雰囲気を壊してしまいそうで。
春奈
春奈
(ああ、お父さん、お母さん……あたしは今大人の階段をのぼっているよ……)
彼氏いなかった歴17年と3ヶ月。

そして今日があたしの新たな記念日。
春奈
春奈
(あたしのファーストキス……)
健 先輩
健 先輩
春奈ちゃん……
甘い声でそう言って、先輩が目と鼻の先までやって来た時ーー。
健 先輩
健 先輩
……春奈ちゃん?
目を閉じて、あとは先輩の口づけを待つばかり……そんな時だった。

あたしは顔をそらしてしまった。
春奈
春奈
あっ、えーっと……
先輩との距離はまだ変わらない。すぐそばにその整った顔がある。

だけどーー。
春奈
春奈
(どうしよう……なんて言ったらいいんだろう……ってか言えない。言えっこない……)
先輩はあたしが晒した横顔にそっとキスを落とした。
健 先輩
健 先輩
ごめん、浮かれすぎだったね。
まだ付き合って間もないのに
春奈
春奈
いえ、そんな事はめっそーもなくて……
あたしは慌てて弁解しようにも、上手い言い訳が見つからない。
健 先輩
健 先輩
ゆっくり時間をかけていこう
春奈
春奈
先輩……
あたしは先輩がキスした頬を手でおさえながら、こう思った。
春奈
春奈
(大丈夫、次はきっと……)