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第5話

ちょっと待った!
ーーしかし、どうやって二人をくっ付けるかが鍵なんだけど……。

あたしは悶々もんもんと考えていたせいか、いつもとは違う道に出ている事に気がついた。
春奈
春奈
あれ、ここどこだろう?
辺りをキョロキョロと見渡していたその時だった。
女子生徒
女子生徒
先輩の方がずっと前から好きでした……!
春奈
春奈
(……えっ?)
威勢の良い告白の言葉が耳に飛び込んできて、思わずその場で足を止めた。

声の聞こえてきた方を見てみると、すぐそばには公園の入り口があった。

声はその中から聞こえる。
女子生徒
女子生徒
先輩が今フリーだって知って、いても立ってもいられなくて……。こんな急に呼び出して、告白なんて驚いたと思うんですが……
春奈
春奈
(こんな公の場で告白なんて、どこのどいつ……)
そう思って公園の入り口に入った瞬間、あたしは慌てて身を隠した。

入り口のすぐそばに屈み込んで、そこにある茂みに身を潜めた。
春奈
春奈
(まっ、待って……あれは……健先輩じゃない!)
あたしの位置からは女子の顔がよく見えない。

だけど、あの背格好からしてあたしが知ってる同学年とは思えない。

けど、健先輩に敬語を使ってるって事は間違いなく、先輩よりも年下だ。
女子生徒
女子生徒
先輩は年下が好きっていうのは本当ですか?
健 先輩
健 先輩
ははっ、どこでそんな噂聞いたのさ?
健先輩の低めの声が爽やかにあたしの耳を掠めた。

先輩、やっぱりカッコいい……。そう思いながらあたしはマジマジと耳を傾けた。
女子生徒
女子生徒
友達の部活の先輩のツテで聞きました!
春奈
春奈
(情報源がまた遠いなぁ〜……。それガセネタの可能性高くない?)
先輩のタイプとか知らないけど、年下がタイプなんだったらあたしにだってチャンスあるかもじゃん。

そう思った矢先、先輩は再び笑いながら口を開いた。
健 先輩
健 先輩
ははっ、誰から聞いたか知らないけど、まぁ、事実だね
春奈
春奈
(……えっ?)
女子生徒
女子生徒
だったら……!
春奈
春奈
ちょっ、ちょっと待ったぁ!
思わず茂みを跨いで飛び出してしまった。

跨げるほどの高さかと言うと、正直なところそうでもない。

小枝があたしのストッキングをぶっ刺しまくって皮膚に届いて痛い。

それなのにあたしの体はどっぷりと茂みの中だ。

だけど、今はそれどころではなかった。
女子生徒
女子生徒
……⁉︎
健 先輩
健 先輩
……えっ?
驚いた顔と共に引いてる顔が目の前にいる人物達からにじみ出ていた。
春奈
春奈
ごっ、ごめんなさい!   あの、盗み聞くつもりはこれっぽっちもなくって……
あたしは人差し指と親指で指ハートを作った。

……けど、この状況でその表現は確実に間違えてるって事に気がついて慌てて反対側の手で“これっぽっち”のサイズを表した。
春奈
春奈
(やばっ、あたしめちゃテンパってる……。ってか、思わず飛び出しちゃったけど、これ、どーするよ……!)
女子生徒
女子生徒
邪魔するなんてひどい……!
あたしがオタオタしている間に、下級生の女の子は今にも泣き出しそうな顔であたしを睨みつけた。

きっと勇気出して告白していたに違いない。それなのにあたしときたら……。

そう思ったところで、テンパってるあたしにはこれ以上最善の策が見当たらない。

とにかく何か言わなければ……そう思って口を開いた。
春奈
春奈
あっ、たしだって……先輩の事が好きなんだもん!
女子生徒
女子生徒
……!
泣きそうになっていた下級生の女子生徒は再びびっくりした様子で目をまんまると見開いた。

けど、きっとあたしも同じ顔をしているに違いない。
春奈
春奈
(……はぁー⁈   アホかあたしは!   何どさくさに紛れてあたしまで告ってんのよ!)
先輩は何も言わず、ただそこに立ち尽くしている。

それがまた、何より恐怖だった。

羞恥心とか色んな感情があたしの中でせめぎあっていて、吐きそうになる。
女子生徒
女子生徒
健先輩……先輩はどう思いますか?   こんな急に出てきて告白なんて……私は正直信じられません
春奈
春奈
……⁉︎
なんだと!   そう思って頭に血が上ったけれど、彼女の言うことも一理あると思えて、あたしは握りしめた拳を解放した。

年下のくせになかなか言うじゃん、って思う一方、一大決心した告白を邪魔されれば、まぁ、そう思わなくもないかも。
健 先輩
健 先輩
……
春奈
春奈
あの〜……思わず飛び出してすみませんでした。本当にここに出くわしたのは偶然なんです。邪魔するつもりも無かったんです
下級生の目が痛い。

まるで槍のように浴びせられる視線に、あたしは肩を落とした。
春奈
春奈
でも、告白したのはいても立ってもいられなくて。その、あたしも先輩の事が好きだったので……
だけど、ごめんなさい。

そう心の中でつぶやいてからあたしはぺこりと頭を下げた。
健 先輩
健 先輩
二年の武田春奈ちゃん、だよね?
健先輩の口からまさかの、あたしのフルネームが聞こえる。
春奈
春奈
あの、はぁ……?
思わず気の抜けた間抜けな返事をしてしまった。
健 先輩
健 先輩
あれ、違ったかな……?
春奈
春奈
あっ、いえ!   合ってます!
でも、なんで……?

その言葉を口にする前に、健先輩は微笑みながらこう言った。
健 先輩
健 先輩
実は俺も、君が気になっていたんだ
春奈
春奈
……!
なんてこった。

あたしは良いように先輩の言葉を捻じ曲げて聞いているようだ。

でなければ、こんな事あり得るはずもない。
女子生徒
女子生徒
せっ、先輩……それって……!
健 先輩
健 先輩
ごめんね。俺は君とは付き合えそうにないや。だって……
そう言って爽やかな笑みで、先輩は茂みにハマったままのあたしの元へとやって来て、ヒョイと抱き上げた。
健 先輩
健 先輩
俺は春奈ちゃんと付き合う事にするから
……あたしは今日、死ぬかもしれない。

健先輩の甘い香水の香りに酔いしれながら、あたしは失神した。