第10話

優しいお姉さん
29
2021/05/04 11:00
僕は、中学2年で成績が伸び悩んでいて、家庭教師に来てもらうことになった。
その先生に…僕は一目惚れしてしまった。
先生
先生
今日から昴くんの家庭教師として精一杯頑張らせて貰います
よろしくね
昴
よ、よろしくお願いしますっ!
家庭教師の先生は、マスク美人でとても綺麗な大学生の先生だった。
そして、その先生は、教えるのもとても上手で、僕は順調に成績を上げていった。
先生
先生
すごいよすーくん!
これなら秀院高校も夢じゃないよ!
昴
あの、先生…
両親は秀院高校を受験させるつもりかもしれないですが…僕は別の高校に行きたいんです
先生
先生
…え?それならどこにーーー
昴
先生の母校、折江高校です
先生
先生
え!?
でも、折江高校はとても大変だって…
昴
はい、先生にその話は何度も聞きました
でも、僕は先生のような優しく賢い人になりたいんです!
僕の強い気持ちを打ち明けると…先生はマスク越しながら、涙を流した。
先生
先生
…っ、そんなにすーくんが私のこと尊敬してくれてたのはとっても嬉しい
でも、それなら少し遠いけど、もっといい高校があるの
そう言って、先生は…全寮制で男子校である、この高校を紹介してくれた。
しかし、その先生は、僕が中学3年に進級するのと一緒に、大学を卒業し、家庭教師を辞めてしまった。




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昴
ーーーだから、それ以来その先生がどこにいるのかも分からないんです
ずっとマスク姿だったから本当の顔もあまり分からないし、名前もずっと「先生」呼びだったから覚えてなくて…
片倉くん
片倉くん
……
昴
…でも、先生との約束は守りたいと思ったから、勉強を続けて、この高校に合格出来たんです
片倉くん
片倉くん
…その先生って…
昴
?どうしました?
片倉くん
片倉くん
いや、何でもない
…今でもその人のこと好きなの?
昴
そうだなぁ…一応ケリはつけたつもりなんだけど、まだどこかで会えるって信じてる自分もいるというか…
片倉くん
片倉くん
そっ、か…
片倉さんが少し残念そうな顔をする。
昴
あ、でももう会えないのは分かってるから、少しずつ片倉さんのこと考えてみるから
片倉くん
片倉くん
…あのさ、大木くん
今週末って空いてる?
昴
…え?今週末ですか?
空いてますけど…
片倉くん
片倉くん
!じゃあ、一緒に行きたいお店があるんだけど、来てくれない?
昴
いいですよ、どんなお店ですか?
片倉くん
片倉くん
ん〜…それは行ってからのお楽しみで
男の子なら嫌なわけないと思うから!
片倉さんが目を輝かせている。
…男なら嫌なわけない?
まさか、ね…
                                          《続く》

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