第7話

動揺が隠せない
23
2021/03/17 11:00
昴
んぅ〜…
僕は目を覚ます。
昨日片倉さんに言われたことで頭がいっぱいになり、あまり眠れなかった。
僕が目を擦りながらリビングに行くと…
片倉くん
片倉くん
ひゃっ!?お、大木くん!
昴
あ、片倉くんおはよう
今日は早いね
…あの、昨日のことなんだけど…
片倉くん
片倉くん
…ごめんなさい!
なんか暴走しちゃってて、その…
昴
あっ、ううん、責めてるわけじゃないんだけど
…僕のこと好きって、本当?
片倉くん
片倉くん
そ、それは…本当///
昴
…そっか…
申し訳ないんだけど、僕、変に意識しないようにずっと男としてしか見てなくて…そういう対象ではなかったから
片倉くん
片倉くん
そっか、そうだよね…
じゃあ、部屋では女の格好したら、意識してくれる?
昴
それは…
僕は、寮長やサキ先生に言われたことを思い出す。
「大木くんのことを信頼してるから」
その言葉を裏切りたくない。
昴
…ごめん、片倉くんを恋愛対象として見ることは出来ない
でも、ルームメイトとして仲良くしたいとは思ってるから
片倉くん
片倉くん
うん…ありがとう
片倉さんが、無理に笑顔を作る。
片倉くん
片倉くん
じゃあ…俺、先に学校行くね
片倉くんは、そう言ってすぐに部屋を出て行った。


黎side
片倉くん
片倉くん
っ、うぅ…
自然と涙が零れてくる。
きっと、私のことを思って、ハッキリと断ってくれた。
それは分かってる。けど…
大木くんから直球に言われると、こんなに苦しい。
片倉くん
片倉くん
…っ、スバルくん…っ
…もう、大木くんのことなのか、流星くんのことなのか、自分でも分からない。
だけど…無意識に私はそう嘆いていた。


昴side
サキ先生
サキ先生
ちょっと大木くん、進路のことについて話がしたいんだけど
昴
...進路のこと、ですか?
僕は、「何か変なこと書いたっけ...」と疑問に思いながら、サキ先生について行った。
バタンッ。
サキ先生
サキ先生
よし、これでゆっくり話が出来る
昴
え、あの、進路の話は...?
サキ先生
サキ先生
そんなの口実だよ
私が個人的に大木くんを呼び出しちゃうと誤解されそうだから、適当に言っただけ
昴
進路じゃないなら...片倉くんのことですか?
サキ先生
サキ先生
あら、鈍感な大木くんにしては鋭い
昴
...鈍感はやめてください
サキ先生
サキ先生
でも本当のことでしょ?
何か心当たりでもあったの?
昴
えっと...昨日、片倉くんと色々あって、その...僕が片倉くんを傷つけてしまったと思うので
サキ先生
サキ先生
誤魔化しても姉の私からしたらバレバレだけどね笑
黎に告白されたんでしょ
昴
え、ええっ!?ち、違います!
サキ先生
サキ先生
あれ、違うの?
黎昔からあなたのこと好きなのに
昴
...昔から?
サキ先生
サキ先生
まあ「流星樹」としてのあなたを、だけどね
6歳でテレビに出てきた時に一目惚れしてたの
昴
ろ、6歳!?
じゃあ、10年...
サキ先生
サキ先生
黎が告白してないってことは...もしかして、秘密にしてるの?
昴
いや、あの...告白はされました
でも僕が流星樹だとは明かしてません
サキ先生
サキ先生
えっ、告白されたの!?
返事は!?
サキ先生が女の子同士の恋バナのノリで僕に聞いてくる。
昴
えっと...断りました
...僕なんて片倉くんには勿体ないです
サキ先生
サキ先生
...その発言は見過ごせないよ!
昴
わっ...!?
サキ先生に眼鏡を外される。
サキ先生
サキ先生
いい?大木くん
あなたは黎のことを考えて断ったのかもしれないけど、あの子は勇気を振り絞って告白したの
それをちゃんと考えずに断ったらダメ
昴
...でも、僕達はルームメイトです
これ以上の関係になってしまったら、先生も僕達を放っておけません
僕がどうなろうと僕の責任ですが、片倉くんまで責めたくないです
「僕と片倉さんはただのルームメイト」
そう、心に言い聞かせてきた。
だから、もうこのままただのルームメイトとして、最低限の関わりを保つ。
もう決めたんだ。
僕は、拳に力を込めた。

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