〜 蓮side 〜
亮太に背中を押されて洗面所に入る。
な、何事?
洗濯カゴが変なところでひっくり返ってて…
と、亮太がキョロキョロ辺りを見渡している。
なんかいんのかな…と、俺も周りを見る。
りんが急に洗濯機の下へと手を入れると、
カサカサとゴキブリが壁をよじ登って出てきた。
洗濯機の方へと背中を押される。
と、りんがゴキブリ目掛けて飛ぶと、
ブーンとゴキブリも羽を広げ飛ぶ。
と、いつの間にか亮太がゴキブリとは真逆の方に逃げてる。
亮太ゴキブリ怖いんだ…いい事知った ♪
ん?…待てよ、俺がここでゴキブリ倒せば、
かっこいいんじゃね、?✨
ふ、見とけよ亮太!
洗面所から出て、雑誌を丸めて持ってくる。
ドタドタと亮太が常にゴキブリの逆側を位置取る。
亮太可愛いじゃん…、俺かっこいいじゃん✨ ←
パンッ!と、外して床を雑誌で叩く。
惜しい…次は絶対殺る。
これで亮太にかっこいいって言われる…ふふッ…♡
ぺしッ、とりんがゴキブリに猫パンチを食らわし、
ゴキブリはコテッと裏返って動かなくなった。
亮太がゴキブリに興味津々なりんの首元を掴んで
持ち上げる。
と、亮太がりんを連れて風呂に入って行く。
俺が倒すはずだったのに…
俺が褒められるはずだったのに…
雑誌でゴキブリを掬い上げ、
外に出てぽいっと隅っこに捨ててくる。
リビングに戻って、ご飯の続きを食べる。
くそぉ…りんに全部もってかれた…
りんとタオルを持った亮太がリビングに来る。
ぶるぶるっと身体についた水を飛ばし、俺の足元に来る。
タオルを渡し、ぽんぽんと頭を撫でると洗面所に戻る。
りんを膝の上に乗せ、わしゃわしゃとタオルで拭く。
ぴょんっと俺の膝から下りて、歩いていく。
と、洗濯カゴを持って亮太が戻ってきた。
携帯を持ってきて、YouTubeを亮太に見せる。
やっと俺の夢が叶う ♡
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!