時計の針が22時を指す。
外では雨と一緒に雷まで鳴り出した。
立ち上がって浴衣を着直す。
まじかよ、危ない危ない。
こいつ!俺が怖いのダメなの知ってるのに!
ー
ーー
ーーー
カチッと、電気が消える。
ポチくんの話が終わって、もう遅いからと寝る事になった。
布団を敷いて、迷いなく俺は真ん中をとる。
これで両端の安全は守られた(?)
なんだよ、どうなったんだよ!聞きたくないけど!
絶対その宿にいた女将さん 山姥 だ。
行方不明になった方はあのまま食べられちゃったんだ 泣
そもそも、逃げる時天候荒れてなかったとか、
意味わかんないし。怪しい宿入る時点でダメだし、
死んでもいいから山下りれば良かったんだ ←
変なノリで怖い話したらお化け集まるって
ちっちゃい時俺のお母さん言ってし、
もう集まってきてたらどうすんだよ!
ごそごそと暑くて出してた足を引っ込める。
お前バカかよ!
繋ぎたいけど、出したら切り取られるんだぞ!
あれ…じゃあ顔も切り取られるかもしんないじゃん。
布団を顔まで被せる。
これで大丈夫だ。
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寝れない…亮太の布団入ればよかった…泣
もう寝ちゃったかな…
顔出しても大丈夫だよな、起きてるから切られないよな。
顔を出して隣を見る。
寝てる…、
反対向いてポチくんを見ると、
布団を蹴飛ばしていた。
浴衣も乱れてるし、手も足もおへそも取られるよポチくん。
起き上がってポチくんに布団をかける。
布団から抜け出して、亮太の布団に入り込む。
スーッ…と、閉まっていたはずのドアが開く音がする。
なんで、なんで、お化けだ 泣
喋った…無理…俺、お化けの声聞こえた 泣
ぎゅっと抱きいて、亮太に顔を押し付ける。
カシャと、音がする。
なんの音、なんの音…もう、分かんない、分かんない!
スーッと、ドアが閉まる音がする。
帰った?お化け帰った…?
ぎゅっと抱き締め返してくれる。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。