俺が受験生になった時。
自ら父さんと距離をとった。
受験のためはもちろん、父さんのこれからのためにも。
何回か店の手伝いをしている時に見た。
父さんと仲良さそうに話している女の人。
父さんには幸せになって欲しい。
だから、受験が受かった日に言った。
一人暮らしがしたいと。
父さんは受け入れてくれた。そして、
と。何度も俺に謝ってきた。
父さんは何一つ悪くないのに。
勝手に変わっていったのは母さんなのに。
だから父さんは俺を責めなかったんだ。その時に知った。
そして、好きな人がいる事も言ってくれた。
相手は俺の予想してた通りの人だった。
俺が知ってると言ったら、
驚いた様子で照れながらも笑顔を見せてくれた。
その人とやり直さないかとも言ってくれた。
でも、断った。
俺がいない方がいいと思ったから。
俺からも1つ我儘を言った。
父さんを苦しめているこの店を俺が取れば、
きっと楽になるから。
それで、女の人と、また1から幸せになって欲しかった。
父さんは最後の最後まで、俺のためにと、
この家を出て行った。
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俺が話終わった時にはポチはボロボロ泣いていた。
と、また俺に抱きついてくる。
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とポチに手で口を抑えられる。
「 亮太くん、なんか変わったよね 」「 分かるー 」
「 さらにかっこよくなった…♡ 」 「 私はポチくん一筋 」
ポチに話して、なんか楽になった気がする。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。