〜 亮太 side 〜
蓮の様子がおかしいのは俺が蓮に余計な事を言ったからだ。
全部俺のせいだ。
あん時…記憶が曖昧だけど、蓮が好きって言った。
それに舞い上がって俺は……なにしてんだよ。
普通に生きてく事が、蓮の望んでる事。
同性の俺と付き合うのは普通なんかじゃない。
そんなの分かってた。
蓮は嬢ちゃんの告白を断った…、
俺のせいで混乱させている。
蓮の言う俺に対しての好きは、恋愛としてじゃない。
俺が言わせてるようなもん。
俺がそれに勝手に喜んで、勝手に勘違いしている。
だから、
蓮がなにか言いかけてたのを無視して、部屋から出る。
これでいい。
後は、普通に。ちゃんと接してあげればいい。
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結局あれから蓮は戻ってこなかった。
嬢ちゃんと片付けを済ませる。
嬢ちゃんを帰らす。
蓮に手を出した後悔で、息苦しかった。
ー
ーー
ーーー
ガチャンッ、と玄関の鍵を閉める。
台所に行き、飯を作る。
リビングにいなかったって事は寝室か、
料理を作り終え、寝室に向かう。
ガチャと寝室を開けようとしたら蓮がドアを塞いでいた。
リビングに戻る。
ッ……、
頭が追いついてない。
テーブルに並べた蓮の料理をお盆に乗せて寝室の前に置く。
蓮がドアの向こうで泣いている。
今、蓮にとって俺は邪魔者だ。
そっとしておくべき…か…、
ー
ーー
ーーー
する事がなくなった。
寝室の前に行き、皿を見る。
俺が置いた時と何も変わらない。
返事が来ない。
料理を持って、離れた。
蓮が、何を考えているのか、
俺がどうにか出来るものなのか、
分からなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!