俺の予感はどうやら的中していたらしい。
先週にあった練習試合の日から、田中くんは変わっていった。
部活のときはなにかに怯えているような目をしているし、いつもどこかを痛がっている。
この学校に来た時より、笑わなくなった。
次第に、田中くんはあまり部活に来なくなっていた
今日は、部活で練習試合の日。
今日は、田中君は部活に来てる。
田中君の事をバカにしたように、先輩が言う。
なにかがおかしい。
部活で何かあったんだろうか。
そんな事を考えながら、グラウンドに出る。
ピーーーーーーー
試合が始まる。
応援しながらも、写真を撮っている向井くん。
向井くんが応援してくれるなら、どんなことでも頑張れる気がした。
激しいボールの奪い合いになる。その時、
唸り声を上げて、田中君がしゃがみこんだ。
前半が終わり、先生が田中君のもとへ駆け寄る。
保健室に行くみたい。
後半の試合が始まる。
残り10分のところで、俺の所に来たボールをシュートする。
パシッッ
入った〜!!
その後の試合でも、2ゴール決めて、俺らの勝ち!
るんるん気分で部室に戻るとこんな会話が聞こえた
怖くなって、逃げるように部室を出た。
向井くんが走ってくる。
若干ぎこちない笑い方になってしまった。
一瞬不思議そうな顔でこっちを見た向井くんだったけど、
って言って、俺の手をとって歩く向井くん。
向井くんの手の温もりが俺に伝わってくる
それだけで、不安だった俺の心が、少し和らいだ。
駅について、電車に乗り、写真を見る。
向井くんと話している時が1番落ち着く
まだ、向井くんの駅にはつかない。
そう言って、見上げてくる彼を思わず抱きしめる。
車両にはあまり人はいない。
不安な心を癒やしたい、ただそれだけだった。
俺がそう言ったら、向井くんは何も言わずに、俺の腰に腕を回した。
向井くんの駅についた頃には、二人とも離れて、
俺が謝ったら、
そう言って、彼は去っていった。
ほんとに向井くんは優しい人だ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。