(Meguro)
朝、体の痛みで目が覚める。
まだ朝の四時。
俺ももう、部活をやめよう。
こんな事になるくらいなら、辞めたほうがましだ。
いろんな事を考えてたら、もう6時。
リビングに行き、朝ごはんを食べる。
洗面所で、鏡の前に立って気づいた。
頬に傷ができてる。
バレなきゃいいけど。
いつも通りの向井くん。
この様子をみてると、まだバレて無いように思える
ラウールもいつも通り。まだバレて無いだろう。
まぁ、バレるのも時間の問題のような気がするんだけどね、、、。
理科の授業の時、阿部先生にも、
って聞かれたし。周りから見てても、違和感を感じるんだろうな。
放課後の部活も、向井くんに心配掛けないように、バレないように、頑張った。
そして、決まって呼び出される。
みんなが帰ったら必ずこう言われる。
ガンッ ゴンッ
殴られたり、蹴られたり。
今日はいつもよりも強く蹴られてる。
ガチャッ
部室の扉が開いた。
カシャ
カメラの音がする。
そこには、明らかに怒っている向井くんの姿があった。
怒ってる向井くんを見るのは初めて。
ガンッ
先輩が俺を蹴る。
その時、
先輩が頬を押さえて倒れ込む。
向井くんが、殴った…。
何かが切れたように叫ぶ向井くん。
鋭い目で睨みつける向井くん。
先輩が、部室から出ていく。
緊張していた体から力が抜け、倒れそうになったとき、向井くんが支えてくれた。
向井くんはふらつく俺を支えてくれた。
駅に着いた時、堪えていた涙が溢れ出す。
向井くんは、何も言わずに俺を抱きしめる。
安心感からか、さらに涙が出てきた。
(Mukai)
部室のドアノブに手を掛け、深呼吸する。
大丈夫。絶対に助け出してみせる。
部室に入って、シャッターを切る。
よっしゃ証拠GET!
ぱって前を見たら、俺の思ってた以上に暴力を振られているめめ。
あの時と同じ、怯えた目をしている。
怒りの感情が湧いてくる。俺の何かが切れた。
こんなに怒鳴ったんは初めてかもしれん。
そう言って蹴られるめめ。
怒りが頂点に達した俺は、あいつを、殴った。
自分でもびっくりした。
一気に部室の中が静かになった。
前にいるめめの体が傾く。
一瞬やけど、それがスローモーションに見えて、
慌ててめめの体を支える。
なんか気まずくなって、
って声をかけた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!