第7話

二人きり
5,199
2020/03/31 02:52
向井康二
顔真っ赤やで?
熱あるんとちゃうか?
そう言いながら、向井くんは背伸びして、俺のおでこに手を当ててくる。
距離がものすごく近い。
向井康二
どう?俺の手、冷たいやろ?
帰ったら、体温はかって安静にしとくんやで?
目黒蓮
あ、ありがとうございます!
近いーっ!やばいー。
それにしても、なんでこの人はこんなに可愛いんだろう。
「次は○○駅〜○○駅〜」
向井康二
あ、俺ここで降りるから、また明日な!
そう言って、電車から降りた向井くん。
人混みに紛れて、すぐに見えなくなってしまった。
明日も会えるかな?
まだ火照っている顔を手で冷やしながら、外を見てると、雨が降ってきた。
え、俺、レインコート持ってきてない!
どうしよう…
「○○駅〜○○駅〜」
俺の降りる駅だ!

改札をでて、駐輪場まで行く。
帰らない訳にも行かないから、土砂降りだったけど、自転車で帰る事にした。
その時、野良猫らしき生き物が、猛スピードで、俺の前を通り過ぎた。
目黒蓮
うわっ
ガンッ
急ブレーキしたせいで、自転車が倒れ、固いコンクリートに打ち付けられる。
肩と膝を思いっきりぶつけた。
目黒蓮
最っ悪だ。
家に帰ってすぐ、シャワーを浴びた。
まだおでこに、向井くんの手の感覚が残ってる。
冷たくて、柔らかい。そんな不思議な感覚だった。
晩ごはんまで、自分の部屋ですごす。
明日から3日間、部活見学がある。ラウールと佐久間くんでも誘って見に行こっかなー。

向井くんはどの部活に入ってるんだろ?


気づけば、向井くんの事ばっかり考えてた。
お母さん
お母さん
蓮ー?晩ごはん出来たよー!!
目黒蓮
はーい!今行くー!!
勢いよく起き上がって思い出した。
目黒蓮
痛っ…!
そうだ、怪我したんだった。
シャワーしたときに見たら、膝は血が出てたし、肩は大きな痣になってた。

慎重に階段を降りて、リビングまで行く。
目黒蓮
いただきまーす。
今日のごはんはラーメンだった。
向井くんはどんな食べ物が好きなんだろ?

まただ。気づけば向井くんの事ばかり考えている。
傷口が痛いから、そーっと階段をのぼって、自分の部屋に戻る。
ベッドにダイブして、天井を見てた。
明日から本格的な授業が始まるんだって。
どんな先生なんだろ?
1時間ぐらい、ぼーっとしたり、スマホを見たりしていたら、もう時刻は10時だった。
歯を磨いて、布団に入る。眠りに付くのはあっという間だった。
朝、目が覚めて、ご飯を食べて、駅に向かう。
ここまでは、いつも通りだった。
降りる駅まであと二駅って所で、声をかけられた
向井康二
目黒くん!
おはよう!
目黒蓮
おはようございます!
ビックリしたぁ。
向井康二
昨日ちゃんと体温はかった?
あ、忘れてた(笑)
目黒蓮
平熱、でしたよ?
向井康二
そう、良かったわぁ。
あれ?目黒くん、耳の横、怪我してんで?
目黒蓮
昨日自転車乗ってたら転んじゃって
向井康二
絆創膏貼ったろか?
そんな事をされたら、また顔が赤くなる。
それはごめんだ。
目黒蓮
これぐらいの怪我、大丈夫です!
向井康二
そう?
結構傷、深いんとちゃう?
目黒蓮
大丈夫ですって!
なんで向井くんはそんな不満そうな顔をするんだろう(笑)
やっぱり、二人きりになると、変に緊張してしまう。
向井康二
あれ?
あの子、ラウールくんとちゃうの?
目黒蓮
ほんとですね!
全然気づかなかった。

「○○駅〜○○駅〜」
向井康二
ここ、降りる駅やな!
二人きり、やばい。そう思っていたら、俺たちの少し前を歩いていたラウールと目があった。
ラウールが、嬉しそうに手を振ってくる。
そして、こっちに来た。
ラウール
向井くん、めめ!
おはよう!!
向井康二
おはよー!!
目黒蓮
おはよ。
ラウールが来てくれなかったら、ずっと二人きりだったわ。そんなの俺の心臓が持たない(笑)
ラウールに感謝だね!笑笑



高校に着いた。
向井康二
俺靴箱あっちやから、またな!
そう言って、向井くんは走っていってしまった。

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