(Meguro)
もうね、限界。
精神的にも体力的にも疲れていた。
「部活に行きたくない。」
こんな感情が俺を支配する。
でも、向井くんが部活に来てくれるのは、残り7日。心配かけたくないし。何より、あと少しだし、一緒にいたかった。
誰にも相談できずに、一人で苦しんでいた。
ストレスからくるめまいや貧血など、もう体力的にも限界だった。
最近、部活のあとに、呼び出されて、殴られたり、蹴られたり、暴力も振られるようになった。
自分の体にできた痣や傷を見るたびに、涙が出てくる。明日もこんな思いをするのかと思うと、学校にも行きたくなくなった。
朝、重たい体を起こして顔を洗い、鏡に向かって笑顔をつくる。
大丈夫、まだ笑えてる。
いつもの太陽のような笑顔でこちらを見る向井くん
いつもみたいに笑えてたかな…?
今日は生徒会がある。
正直、ほっとしてる。部活にいくのが遅くなるから、無駄に先輩と関わらなくていい。
放課後、ラウールと生徒会まで歩く。
足を痛めてるのを気付かれないようにしながら。
いっその事、言ってしまおうか…。
いや、だめだめ!これ以上ラウールに余計な心配を掛けさせたらだめだ。
いつも通りを装う。
生徒会室に入ると、2年生二人はもう来ていた。
足の痛みを我慢しながらしゃがみこみ、雑草を抜く
はぁ、行きたくないなぁ…。
痛む足を押さえながら、グラウンドまて走った。
(Mukai)
遅れるのには、理由がある。
生徒会室で相談や!もちろんめめのこと。
ラウールくんも異変には気づいてたみたいで、ふっかさんに相談してみる事にした。
事情をすべて説明し、ふっかさんの方を向く。
ふっかさんは一瞬むずかしい顔になった後、ラウール君と俺の方をむいて、こう言った。
うーん…どうやったらめめを助けられるんやろ?
3人で、助け出す為の作戦を考える。
そうや!
二人とも頭に?を浮かべてる。
我ながらいい考えやと思う!
目に涙を浮かべながらそう言うラウールくん。
そう呟いたふっかさんは、ラウールくんのもとに行き、頭をなでてあげる。
その途端に、ラウールくんは、声を上げてなきはじめた。
ラウールくんはホンマに友達思いな子やなぁ。
ふっかさんと二人で、ラウールくんを慰める。
ぱっと時計を見たら、部活の終了時刻を大幅に過ぎている。
今日は一人で帰る。
明日、絶対に助け出してみせる。
ラウールくんの為にも、めめの為にも。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!