-10年前-
この時はまだ前世の記憶など、なかった。
それに、幸せだったんだ。
でも、その幸せは満月の夜に壊れた…
ピーンポーン
キャーーーーー!!!!!
お母さんが逃げてって言ったあとすぐに、ヴィランが出て来て、手に持っていたのは、お父さんの死体だった。
お父さんの死体を見て唖然としていると、ヴィランは私に向かって包丁片手に襲いかかった。
ザシュッ!!!!!!
バタ…
お母さんは私を庇って、死んでいった。
お母さんの血が溢れて床がまるで血の池になりお父さんはウジが湧いてきて、地獄絵図だった。
その瞬間前世の記憶が、川を流れる水のように流れてきた。
思い出した_
お父さん、お母さん…
また失ってしまった。
もう、嫌だ。
どうして、鬼はいなくなったのに…
どうして、人を傷つけるの…
どうして、私から幸せを奪うの…
もう辞めてよ。私からもう何も奪わないでよ。
私はいつまで経っても幸せになれないの?
そういう運命なの?
ヴィランが私に向かって包丁を振りかざす。
もう、嫌だ…
誰か助けて…
パァァァ!!!!!!!!!!
私はその光とヴィランの言葉を最後に意識を無くした。
次に目が覚めると、
私の身を抱くように、安心させるように、龍が巻きついていた。
ヴィランを探せば、見覚えのない骨が転がっていた。父と母はそのまま亡くなっている。
じゃあ、あの骨は?
私は背筋がゾッとした。
私の家族は3人…なのに知らない誰かの骨がある。
私は前世の記憶もあるので、すぐに理解出来た。
ヴィランの骨だ。
初めて、龍を触れた時に
とても、暖かい。
そう思った。
それが、私にとって人生で初めてした龍との契約だった。
next.*'❀
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。