第5話

阻止
102
2020/06/08 14:00
チハヤsaid

午前10時。俺はたまたま目を覚ました。
ソファの上に寝ているということは、
村上チハヤ
村上チハヤ
フレント寝てますね·····
昨日の夜にフレントが泊まりに来たのは嘘じゃなかった。

俺は本当は、今日フレントが泊まりに来るんじゃないかって毎日ワクワクしている。けど、泊まりに来るフレントはほぼ毎回苦しそうで。俺はもちさんみたいに苦しませないから、帰らないで欲しい。ずっとここに寝とまって欲しい。
フレントの寝顔を見ていると、苦しくなってくる。もちさんが羨ましい。
村上チハヤ
村上チハヤ
飯でも食おうかな
どうせ、フレントはまだ起きない。
1人で冷凍庫にあったものでレンチンして飯の準備をしていると
フレント
フレント
ふぁぁあ。
フレントが起きた。嘘だろ何事だよ。
村上チハヤ
村上チハヤ
うわはや!!
フレント
フレント
なんか目が冷めちゃって。
ベッドに慣れなかったのかな
村上チハヤ
村上チハヤ
人んちに泊まっといてそれかよ‪w
こっちはお前のせいでソファだぞ。
わがままもほどほどにしろよ‪w
けど、それくらいフレントは俺の家に泊まりに来るのが久しぶりだったんだ。いつもよりやけに嬉しいのはそれが原因か。
フレント
フレント
いただきまーす
2人で朝食を食べる。誰かと一緒に朝食を食べるなんて久しぶりだ。
フレント
フレント
これ美味いわ
とても美味しそうに食べ物を食べる。
不味いものは露骨に不味そうな顔をする。
フレントはテンションこそ安定しないけど、一緒にいると本当に楽しい。
フレント
フレント
ごちそうさま。美味しかったよ
村上チハヤ
村上チハヤ
おう!お前これからどうするの?
フレント
フレント
うーん·····
そう言ってまた寝室に行った。
また寝るつもりか?腹減ったから起きてきたのか?!なんて野郎だ。本当、猫飼ってるみたいだ。たまに見せる甘えをずっと待っている俺さえも、猫を飼っている飼い主みたいだ。
村上チハヤ
村上チハヤ
今日も泊まってってくれねぇかな·····
淡い期待をする。そう思った時はいつもフレントはその日のうちに帰ってしまう。そんなもんだ。頼まないと泊まってくれない。

考え過ぎないようにゲームを始めた。
実況しようかと迷ったけど、寝てる人がいるのに声を出すのはまずい。
ただひたすらに無言でゲームをする。

寝不足なのか、俺はいつの間にか寝ていた。
午後8時。
村上チハヤ
村上チハヤ
うわやべ!!
まだフレントは目を覚ましていないのか。
寝室に入ると、ものすごい体制で寝ているフレントがいた。
村上チハヤ
村上チハヤ
お前!!起きろ!!もう8時だぞ!!
フレント
フレント
ええええ!!!
飛び起きた。
本当はこのベッド寝心地がいいんだ。少し奮発して買ったベッドだからしょうがない。こういう所フレントは正直だ。フレントは服を着替えて、適当に髪を直し始めた。
村上チハヤ
村上チハヤ
フレント·····
帰るのか·····?
フレント
フレント
え、なんで?
ただの勘かもしれないが、今日フレントがもちさんの家に帰ったら、フレントが誰かのものになってしまう気がした。
フレントがもちさんに正直な気持ちを伝えるんじゃないかって。そんなこと耐えられない。もう帰ろうとしたフレントの右腕を掴まえて、
村上チハヤ
村上チハヤ
フレントはもちさんのこと好きなの?
急に魔法にかかってしまったように、フレントの本音を聞いてしまった。ずっと気になっていたこと。
フレント
フレント
え?
困ったようにこちらを見る。
駄目だ。帰したくない。
村上チハヤ
村上チハヤ
ねぇ違うのなんなの?
イライラしてきた。
俺だけを見てほしい。もう行かないで欲しい。
そして彼は意を決した様な顔をした。
フレント
フレント
·····す
彼が声を出そうとした瞬間、俺は抱きしめた。
答えは知ってる。けどその答えは聞きたくない。そんな訳ないだろって笑ってくれることを本当は期待していた。ほんの少し、希望を持った俺が馬鹿だった。そんな可能性は1ミリもなかった。

フレントはもちさんのことが好きなんだ。
ずっとずっと目をつぶってきた事実。
俺は頼れる友達に過ぎなかった。フレントにとって特別な存在になりたかった。
1ミリもない可能性を信じてきた俺はそうそう諦めきれなかった。
村上チハヤ
村上チハヤ
今夜だけ、俺に甘えさせてくれ·····
絶対、諦めるから·····
そして、泣き崩れそうになった俺をフレントはグイッと持ち上げて、抱きしめ直してくれた。
フレント
フレント
俺は誰のものでもないよ
そう言って笑ってくれた。
優しく笑う彼を見ていると我慢出来なくて、キスしてしまった。本当は俺が一番自分勝手だ。
それでも彼は何も言わず受け止めてくれた。

今日だけの夜の魔法。明日にはもう消えて一生魔法がかかることは無いだろう。
けれど、友達としてこの感情をこれから我慢していく方が俺にとって苦しかった。諦めるならきっぱり諦める。今夜だけはフレントと一緒にいることを楽しもう。
この夜が永遠になることを、どこか心の中で願いながら。

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