第11話

出会い(シリカ)
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2021/11/27 04:14
アインクラッド第30層での出来事…
あなたのゲーム内の名前
「いや〜、まさかクエのやり残しがあったとは、アルゴ様様だな。」
俺はやり残したクエストを終わらせに、下の層へと来ていた。そのクエスト自体は難しくないので、割と直ぐに終わった。
あなたのゲーム内の名前
「この辺は道が入り組んでるからなぁ、マップがあるとはいえ、めんどくさいんだよな…」
この辺りはかなり入り組んだ地形になっていて、クエストよりも、行き帰りの方が時間がかかるという、プチ鬼畜マップなのだ。
ボヤきながら歩いていると、遠くから人の声が聞こえる。声色から察するに、揉め事のようだ。こんなところで揉め事とは、呑気なものだ。
あなたのゲーム内の名前
「モンスターに襲われて、油断してるところを…なんて目覚め悪いし…見に行くかな。」
関係ないとはいえ、やはり助けられるものを見捨てるのは気分が悪い。仕方なく見に行くことにした。
あなたのゲーム内の名前
「ん〜、男3人と女2人…1人は…小学生くらいじゃないか…?」
聞き耳を立ててみると、少女とほか4人が何やら言い争っていた。

「ねぇ〜、もうこんな子ほっときましょうよ。ワガママすぎない?」

「シリカちゃん、俺たちが守ってやるからさ〜、一緒に行こうぜ〜?」
シリカと呼ばれた少女は少し嫌そうな顔をしている。恐らくパーティを組んだはいいものの、何かしらトラブルがあったのだろう。
シリカ
「すみませんが、私はここで帰ります!皆さんは私には全然分け前をくれないじゃないですか!」
散々口論した後、女がキレたのか武器を持ち出した。

「はぁ…もういいわ。帰っていいからさっきまでのドロップアイテム全部置いてってよ。」

「おい…チッ、優しくしてりゃ付け上がるなよガキ、いいから身ぐるみ置いてけや。」
4人とも怒ったようだ。武器を構えるもの、手をかけチラつかせるもの、舌なめずりするもの、三者三様だ。
あなたのゲーム内の名前
「うわぁ…あんな子相手に4人て…」
さすがに良くないと思った俺は堂々と姿を見せ歩みよる。
あなたのゲーム内の名前
「なぁ、そんな小さい子相手に大の大人が四人がかりで、恥ずかしくねぇの?」

「何アンタ、これはあたし達パーティの問題なの。引っ込んでなさいよ!」
女はヒステリックに叫ぶ。これが普通のゲームなら見逃していただろう。しかし、SAOは普通のゲームではない。デスゲームなのだ。
あなたのゲーム内の名前
「悪いがそういう訳にも行かない。弱いものいじめだよそんなの。」

「だったらてめぇから身ぐるみ剥いでやる!!」
男が2人飛びかかってくるが、俺は剣をかわし、2人に手をかけぶん投げる。
あなたのゲーム内の名前
「オレンジにはなりたくないんでね、投げさせてもらったよ。このSAOなら、ステータスが上がれば人なんて簡単に投げれるからね。」

「こいつどっかで…!そうだ!こいつ最前線にいるやつだ!見たことあるぞ!」
飛びかかってこなかった男が俺を見て言った。どうやら冷静なやつもいたらしい。
あなたのゲーム内の名前
「ご名答。俺ならこの辺のフィールドボスくらいソロでやれる。で?アンタらはまだやるか?」

「チッ、帰るよあんた達!」
4人は悪態をつきながら去っていった。俺は座り込んでしまっていた少女に近づく。
あなたのゲーム内の名前
「君、大丈夫?」
シリカ
「あ、ハイ…ありがとうございます。」
俺は手を引っ張り立たせた。少し事情を聞き、街まで送ることを約束した。
シリカ
「あの、アタシシリカって言います。さっきはありがとうございました。」
あなたのゲーム内の名前
「気にしなくていい。俺嫌いなんだよね。大人のくせに自分のことしか優先できないやつ。俺がやりたくてやっただけだから。」
俺たちはそのまま街までフィールドを歩いた。ちょくちょくモンスターが湧いたが全て瞬殺した。
無事に街まで到着し、挨拶だけして帰ろうと思ったのだか、シリカに呼び止められる。
シリカ
「あの、ご迷惑でなければ、少しの間だけでいいんです。アタシとパーティを組んでくれませんか?」
シリカ
「アタシ強くなりたいんです。パーティに誘ってくれる人達は、マスコット代わりにアタシを使います。でも…そんなの嫌なんです。自分で戦っていけるくらい強くなりたいんです。」
シリカは真剣な面持ちでこちらを見つめる。パーティを組んであげたいのは山々だが、できることなら最前線に戻りたい。しかし、ここで切り捨てれば、彼女はまたさっきのような輩に的にされかねない。
あなたのゲーム内の名前
「…分かった。今の最前線はボス部屋も見つかってないし、見つかるまでで良ければ、力になるよ。」
シリカ
「ほ、ホントですか!ありがとうございます!!しばらくの間よろしくお願いしますね!」
シリカは万遍の笑みで感謝を述べる。なるほど、もし妹がいたらこんな気持ちなんだろうか。庇護欲がすごい。
あなたのゲーム内の名前
「じゃあ、しばらくの間よろしくな。」
俺たちはとりあえず、晩御飯を食べに行くのだった。

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