ドキドキするのは。
君が隣にいるからかな。
*
期末テストがやっと終わって。
短縮授業に羽を伸ばして、学校の帰りにカラオケに来ちゃった…
でも、君は目を閉じたまま。
「テスト終わったら、カラオケいこうな」
なんて、約束してたのに!
ものの数曲歌ったら、もうおやすみ。
「テスト勉強で、疲れてたのかなぁ」
なんて呟いてみても、全然届かなくて。
私の右隣で、机につっぷしてすやすや眠ってる。
「ゆう、ゆーう……」
脇をこそばしても、全然起きそうもない。
「…もう!」
お昼のフリータイムが終わる夜までには、流石に目が覚めると思うけど…
「悔しいから歌っとこ…」
とりあえず、お気に入りの曲を何曲か入れる。
幸い、音楽も歌うのも私は好きだから、苦にはならない。
*
「.•*¨*•.¸¸♬きみのこえが〜……♪」
あれからもう5曲目。さすがに歌ったら目が覚めると思ったけど、、、なんで!?全然目が覚めないよ、悠…
5曲も連続で歌ったら、ちょっと疲れたかも…
がたっ
突然音を立てて机から私にチェンジしてもたれかかる悠。
「ちょ、悠……!?」
体にもたれかかられた拍子に、バランスを崩してしまった私も、思わずソファーに上半身が倒れてしまって。
若干、悠の体が馬乗りにー…
「ゆ…う!」
倒れた悠の寝息まで微妙に肩にかかって、思わず心拍数が上がるーーー
「……れ、みゆ?」
そこで、悠が目を擦りながら目を覚ます。
「ってあれ、どしたの?俺もしかして寝ちゃってた…?っていうかーーー」
そこまで言葉にして、下にいる私に気付いて。
「何俺、今みゆのこと襲ってる?」
「〜〜〜…////////」
(何直球でギモン系なの…!?)
って思いつつも声が、出ない。
きっと私、全身が紅くなってるんじゃないかなって位、ドキドキしてる…
(悠)「何かごめん、」
フルフル、と首を振る私。
(悠)「え、いいの?」
(私)「はぁ……?!」
(悠)「そこでそう来る?フツー…」
何て言いつつも、何処と無く楽し気な悠と戸惑う私。
「でも困ってるみゆ可愛いから、暫くこのままでもいいかも♪」
「へっ……」
「嘘」
そこまで呟くと、気が付いたら悠にキスされてた…
「……ゆ、う……」
「満更でもないよね、みゆも」
「ここ、カラオケ……」
「うん、わかってる」
「起きる……」
何となく自制心が働いてソファから起き上がろうとする私を見て、そっと悠は避けつつ腰に手を回して。
「このまま、くっついてよっか」
と言ってイタズラっぽく笑った。
「流石にくっついて座ってるだけなら大丈夫でしょ」
とか何とか言いつつも、そっと私の髪の毛を触るその仕草が色っぽくて。
どこまでその言葉がほんとなのって感じにも見えるけど。
「俺の自制心持つかなぁ」
「えっ!?」
「何でもないない」
「……っゆ、う、!」
今度はほっぺにキスされて。
「悠と居たら、しあわせボケしちゃいそう」
「良いんだってしあわせボケして」
「もう……」
そのまま、今度は何も言葉にしないまま長いキスをして。
段々二人の境界線が分からなくなってく……
そんな錯覚。
*
ドキドキするのは、やっぱりキミが隣にいるからだよね……?
隣り合わせになった体はそのままで、カラオケはまだまだ続く。
(私の心臓とか色々、すごいドキドキしてるや…)
退出予定時刻まで、まだ残り数時間。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。