第5話

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2021/04/12 10:22




翌朝目覚めたら、泣き過ぎで、頭がすっかり重くなってしまっていた。

水を飲んでも、まるで脱水起こしたみたいにがんがんする。
おまけに目が腫れてむくんで、ひっどい顔。コンタクト入れるのやめとこう。



卒論指導で学校行かなきゃならない日だったから、大きめのサングラスと、マスク装備して外に出た。



昼過ぎに携帯が震えた。


「ご相談したい事があるので、どこかお時間ある時に、事務所に来ていただけませんか?」


脱落した番組の事務所からだった。

相談?

番組内で俺が歌ったやつの事かな?

ひどい顔を晒すのは嫌だったけど、どうせ行かなきゃならないなら、早い方がいい。
3時に約束をして電話を切った。




ほんの少し緊張して、聞いたのは、事務所への勧誘だった。


「新しく、ダンスボーカルユニット作ろうって思ってるんです。
そこで是非、入っていただけないかな、と」


「………」


遂に来た?

俺の。

俺の?


「ほっ」


焦ってどもって、ごくんと唾を飲み込む。


「他に誰がいるんですか?」


「4人編成のグループを考えてまして」





名前を聞いて、嬉しさに体中の血が沸いた。


彼、いるじゃん。

友達も。
あと、すごくカッコ良くて、ラップも歌もダンスもできるのに、何故か初回で脱落した人も。


この4人なら、きっとビッグになれる。




なんだよ。

昨日泣いたの、何だったんだよ。

嬉しい。

選ばれた。

嬉しい。

彼とやれる。

嬉しい!

嬉しい!





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