年明けのコンサートに向けてリハが大詰めになった頃、SixTONESとの打ち合わせのためになにわ男子と東京に新幹線でむかっている。
時期も時期やし、カウントダウンコンサートになにわは出ると思ってる。気使ってるんか誰も言わんけど。
「なーなーなー、お菓子食べへん!?」
「ちょっ大ちゃんこっちもたれんといて!」
「みっちー見て!なーなーなー!」
「ちょっ大橋くん俺の鏡取らんといてください!」
「………。」
「お前らうるさいねん!」
丈君の雷が落ち、何とか静かになった車内。みんな浮き足立ってる笑
「丈もそーやって怒るような歳やねんな」
「…なんやねん。お前もほとんど同い年やろ」
「ふっ昔は一緒に怒られたよな」
「そんなん、忘れたわ」
割と早い段階から関ジャニ兄さん達のバックに着いたりしてた私たちは、Veteran兄さん達と新幹線によく乗っていた。
「ねねね!あれ!富士山やろ!?」
「え!マジで!どれどれ!」
「まだ、名古屋超えてへんから富士山ちゃうわ落ち着け。」
私と丈のはしゃぎっぷりにいつも、笑って楽しそうにしてくれてたなぁ。
「なぁなぁ!たつにいたつにい!お菓子ちょーだい!」
「えー?お前晩御飯着いたらすぐに食べるねんで?また後でにしーよ」
「ちょっとならいいもん!食べれるもん!」
いつもお菓子をねだる私にちょっとだけなって言いながら結構渡していっつも周りに怒られてたなぁ。
「なんか、たつにい達に会いたくなってきた。」
「たつにいとか、みんな東京おるんちゃうん?」
「…うん。やけど、なんか連絡しにくいんよなぁ」
私の言葉に丈が笑う
「ふっあんなに可愛がってた妹から連絡あったら、喜んで会ってくれるやろ」
「そーかなぁー」
「龍太くんに連絡あるらしいで。皐月は大丈夫なんかって。今回のなにわ男子の件とかで結構心配してくれとるんちゃう?」
丈のタレコミを聞いて、ちょっと顔がほころぶ。
「ホンマに心配しいやなぁー、後で電話しよ」
「そうし。ちょっと寝るから、降りる頃に起こしてな」
「はーい。」
いつも辛い時、しんどい時、心配して、声をかけてくれていたVeteran兄さん達。
辞めるって時は随分心配させてたなぁ。
俺らがおらんで大丈夫か?いけるか?って。
最後まで守れんくてごめん。一緒に頑張れんくてごめん。
お前だけはデビューして欲しい。皐月のこと絶対誰か見てくれてる。頑張れ。
辞めてしまった人達の心配と謝罪と期待。
いつか全部笑顔に変えて会える時はくるのだろうか。今選んでいる道に後悔はない。
でも、成功する、デビューできる保証どころか、遠ざかるかもしれない。
それでも。私は頑張らないといけない。いつか兄さんたちに笑顔で頑張ったなって言って貰えるように。
そんな決意と共に新幹線はいつの間にか見慣れた富士山の隣を通過した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!