丈side
俺には忘れらへん誕生日がある。
2016年2月8日、おれが二十歳になる誕生日。
皐月から電話がかかってきた。
「丈、今日は丈の誕生日やろ??私がお祝いしたるから、梅田に12時集合な!」
「毎年、急すぎやねん。」
「でも!丈は暇やろ!やって私と過ごす誕生日楽しみに待ってるもんなー」
「うるさい、今日はたまたま空いとっただけや」
そうやって、毎年誕生日の日の朝、気まぐれの事のように俺を呼び出し、祝ってくれる皐月。今年は何だろうかと期待して、予定を入れないようにしてしまっている自分が恥ずかしい。
「まぁとにかく!梅田のいつものとこ集合な!」
いつものところに行くと、立ってるのは真鳥
「え、なんでおるん?」
「おー、丈おめでとうな二十歳!
これで、お前も大人って事やな!」
「ありがとう。いやで、なんでおるん?今年はお前も一緒??」
「いやさ、皐月に荷物持ってくるように頼まれたんよ、あいつも急やな。安心せえ、今日は予定あるから荷物渡したら帰るわ」
「おぉ、おってくれたらええのに、なんか、飯奢れよ〜」
「また今度な!てか、荷物皐月に渡しといて」
渡されたのは結構大きめのトートバック
「中身なんやねん?」
「いや、また後々にわかるやろ、じゃあなー」
「おう、なんかわからんけどありがとうなー」
「おー、まぁ楽しめよー」
そうやって謎の荷物を置いて去っていった真鳥、
皐月も人使い荒いな
「ごめーん!待たせて!」
リュックを背負った皐月が走ってきた
「いや、そんなに待ってない」
「ほんまー?お誕生日おめでとう🎂」
「おー、ありがとう。毎年毎年」
「ふふ、今年は二十歳!特別編やで!いこ!」
そう言って腕を引かれるまま電車に乗り、着いたのは空港。
「は?空港やん」
「そーや?」
何を当たり前なことをって顔でこっちを見てくる皐月。
「え、丈、明日も休みやんな?」
「いや、休みやけど…泊まり?!おれなんの用意も持ってきてないで!?」
焦る俺を見て笑う皐月。
トートバックを自慢げに突き出してきた。
「ジャーン!まとくんに持ってきてもらった!」
「あー…なるほどな。で?どこ行くん?」
「ふふふ、はい、チケット」
渡されたチケットをみると行先は、宮崎になってる
「え、なんでこの時期にみやざ…き。え?!」
「気づいた??宮崎では何やってるん??」
「オリックス!キャンプやん!」
「せいかーい!」
宮崎でオリックスのキャンプがあって、毎年行くん楽しみにしてたんやけど、今年は2月に結構仕事が入ってて、行けへんってこないだ末たちと話してたとこやった。
「ちなみに、旅費やら全部の宿の手配やら、fanky全員からのプレゼントやで〜」
「まじで?!よーあいつら俺ら二人で行くんOKしたな?」
「ジャンケンで勝った!」
ジャンケンで勝ったんがこいつでよかった。大橋とか最悪やし
2015年に結成されたfanky 8+1。優馬のコンサートバックにつくために屋良くんに選抜された俺ら。最初はぎこちなさも有ったけど、最近は気持ち悪いくらいみんな仲良い。
皐月に至ってはみんな取り合って大変や。
そんなみんなからのプレゼント、ありがたく楽しませてもらおう。
キャンプ地に着いたら、目の前で練習してる選手たち。カッコ良すぎる!
大興奮で選手の説明したけど、皐月はあんまり理解して無いみたいや。まぁ、そんなもんかと、思いつつ、聞いてはくれてるから、弾丸で喋りまくった。
「丈ー喉乾いたー」
選手たちが休憩のためにベンチに戻ったタイミングでゆーてくる皐月、いや、お前が行けよって思いつつ、自販機に向かってる俺って…しかも何がいいかきかんでもわかるっていうね…
「はいよ」
持っていくと急に目を塞ぐ皐月
「は!?いきなりなにすんねん?!」
慌ててると選手がグランドに入ってきている音がする…いや、なんか目の前で足音が止まった?
「てってれー!せーの「「丈誕生日おめでとう」」
目の前に広がるのは選手が「お誕生日おめでとう」っていいながら、丈一郎って書かれたちっさい画用紙で、作られた旗を振ってくれている。
「え、え、あ、ありがとうございます!?まって泣きそう。え!ほんま最高の誕生日でした!ありがとうございます😊!」
選手の皆さんはそのあと練習に戻られて、俺らもホテルに戻ったけど…
「え、皐月なんで??」
「ふふ笑一回、選手の方とテレビ局でお会いして、丈の話になったんよーで、初めはキャンプ地に連れて行こうと思うんですって言ったら、その後連絡くださって、こーゆー感じでどう?って笑」
「うそ!まじで??!」
「喜んでくれたんやったらよかった」
「ほんまにありがとうな皐月」
ちなみにトートバックに入ってた、センスの良い服たちもプレゼントでいただきました。
次の日帰ってからは、fankyの皆にお礼を言いまくったわ。
丈くんの誕生日、過ぎてしまいましたが…
丈くん!おめでとうございます🎊
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。