第32話

察知
1,014
2020/04/26 05:28
丈side

薄々気がついとった。
なにわ男子ができてから関西ジャニーズJrの中で起こっている変化に。皐月の周りで起きている変化に。

カウコンからの帰りの新幹線の中

「丈くん。ちょっといいですか?」

年下組と大橋が爆睡している中、起きていたのは俺と大吾。

「昨日の夜中なんですけど…」

と大吾が話し始めたのは、皐月と村上くんの電話のこと、SixTONESのビデオのこと。

その話をする大吾は今まで見たことがないほど不安気や。

大吾と皐月は同期で、お互いに意識しあっていた仲やった。皐月も大吾も絶対にお互いのことをシンメやって言い張り続けていた。

大吾自身、廉のキンプリ加入の一件から、驚くほど同期に固執している。
今まで辞めていく仲間はおった。大吾はそれを止めたりは絶対せんかった。やけど、それが皐月となったらまた別や。皐月がどの道を選ぼうが、大吾はきっと不安な目で彼女をみ続ける。
それがわかってるから、皐月も敢えて色々なことを大吾に相談したりはせん。不安になりすぎて壊れかけた大吾を見てるから。

やから、彼女はこんな状態は望んでないやろ。

「そんなに、気にせんでも後々にゆーてくれるやろ。」

そんな大したことじゃないと思わせるために。
不安な状態であけおめコンまで行って大吾が壊れてしまわないように。

「…そーですかね…」

「あいつのことやから、忙しすぎて言ってないことを忘れとるんちゃう?」

「やったらいいんですけどね…」

ちょっと安心した顔の大吾。まだ、思い詰める所にまで行かずにすんだ。

皐月。このお礼は高いぞ…。




大吾の話を聞いて何となく、皐月も関西ジャニーズJrからいなくなるんじゃないかと思ってしまう。

ココ最近の皐月の行動。
異常なくらいなにわ男子に物事をやらせたり。リハの休憩時間に、何回も電話したり。

もともと、忙しいやつやったけど、どうしても自分がいなくなっても大丈夫になるように、準備してるようにしか見えへん。見て見ぬふりをしとったけど、それが出来なくなるくらいってことは思ったよりも事は早く来るのかもしれない。


皐月はいつになったら話をしてくれるんやろうか。
俺に何も言ってこないのにも絶対理由があるんやろうから、俺からは聞かへん。

あいつが話をしてくれるまで。待つしかない

本番まであと数日。
不安な中、関西ジャニーズJrの戦いは始まろうとしている。

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