第23話

役目
1,099
2020/04/07 14:41
「なぁ、なんなん?あれ」

「まぁまぁ、落ち着きーな」

私の言葉に龍太くんが肩に手を置いて宥める。

「やって…ちょっと怒ってくるわ…ぐぇ!」

「待たんかい!」

と言って私のフードを引っ張る龍太くん

「苦しいわ!殺す気か」

「ごめんごめん」

余程私の声が面白かったらしい、笑いながら謝ってくる。

私たちの目の前には、振りが曖昧の状態で音合わせをしてるなにわ男子の信号ブラザーズ。

「もう、俺らの役目やないって、そういうん。」

今まではできていない、真面目にやれと言ったことは私や龍太くん、こうちゃんが言ってた。

実際、そうやって怒って喧嘩になったこともある。

「あいつらは、グループや。グループのメンバーのことはグループの奴らで何とかせなあかん。」

「せやけど、、本番明後日やで?間に合わんやん」

「アイツらも環境変わって忙しいし、、気持ちや体力が追いついてないんやろ。ちょっと見守っといたり」

龍太くんは無駄に歳食ってない。

「おい、なんか俺の事悪く思ったやろ?」

「お、、思ってないし!?」

私の顔を見てふっと笑い髪の毛をクシャクシャにしてくる。

「無駄に、リア恋やん」

「はぁ?無駄ってなんやねん!」

口に出てたらしい。慌てて龍太くんから逃げた。


次の日に、何とかダンスも完成形まで持ってきたなにわ男子。年上組が何とか士気を上げて完成させたんやろう。大吾と丈くんの顔は疲れきっている。

このままで持つんかな、なにわ男子。

まだできてまもないのに、注目されているこのグループに心配事しか浮かばない。

それでも、部外者でしかない私は黙って見守るしか出来ない。




そのまま何とかクリパの幕も開き、半分をすぎた頃。


めずらしい来客があった。

「やぁ、元気にしていたかい?」

「ジャニーさん。」

何の予告も無しに来たもんだから、スタッフはバタバタしている。

「また、突然きたから大人達がバタバタしてるやん」

「それが彼らの仕事さ」

とニヤリと笑う

「さすが。。。で?何か用事があるんやろ?」


「Youすごいね!なんでわかったんだい?」

「用事がないと、大阪まで来ないでしょ?」

「確かにね!Youの東京行きのことなんだけど、1月のコンサート終わったらすぐに加入だから。ユニットはSixTONESね」

「SixTONESは了解してるんですか?」

「うーん。まちまちかな。微妙な反応。」

当たり前だ。自分がSixTONESなら絶対に賛成はしない。

「そうそう、今日は僕だけじゃないんだよ!」

そう言って廊下に出ると、ほっそいシルエットの男がジャニーさんと一緒に入ってきた。

「…久しぶり。」

気まずそうにキャップを脱いだのは田中樹。

「お久しぶりです。」

「SixTONESの中で反対派の代表として彼を連れてきたんだ。」

「反対…か。まぁ当たり前やんな」

私の言葉に驚く樹。

「やって、、私やって嫌ですもん。自分のユニットに訳も分からない奴が入って来るってなったら。」

「わりぃ」

「謝らんといてください、私も6人のSixTONESが好きなんです。樹君たちは悪くない。」

「まぁまぁ、なに君たち勝手に話を進めてるんだ。僕は君たちだからできると思ったんだ。まぁ、今日は樹と楽しむよ!」

「はい。楽しんでください」

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