回想
「皐月…どーしたんやろ。最近なんか、暗いよな」
淳太くんとチビたちが踊ってる姿見ながら話す。
「…うん。なんかあったんやろな」
皐月の姿を見ながら呟く淳太くんは何か事情を知ってそうな感じだった。
でも、聞けない。さっきの話を人づてに聞くのもおかしいし、淳太くんもそんなんしない人や。
「…照史、今日皐月ご飯連れていこうと思うねんけどさ、照史も来る、?」
皐月を送っているうちに親御さんと連絡先を交換したらしい淳太くんは、話を聞いてやって欲しいと、お願いされたらしい。
「え!いいん?」
「ま、俺以外の人にも、知っておいてもらった方がええやろ」
淳太くんの訳ありっぽい言葉に、なんかあるんやなと思いつつ、レッスンが終わるまでは考えてもわからんやろって踊るのに集中した。
「皐月、何飲む?」
「淳太くん!おれオレンジジュース!」
「あきとには聞いてない!」
和やかな感じで俺らは話してるけど、どーにも皐月の顔が晴れない
いくつか来たご飯をたわいのない話をしながら食べて、落ち着いた頃、淳太くんが話を持ち出した。
「…皐月。実は、皐月の先生から話を聞いてあげて欲しいって言われてるねん。」
単刀直入に話を切り出した淳太くん。
「…え?」
「照史はなんも知らん。でも、なんか事情があることは分かってるらしい、」
「別に皐月が話したくないんやったら話さんでもええけど、話して楽になることもあるやろ?俺らも皐月の支えになりたいし」
暫く、逡巡した後、皐月は俺にも知っておいて欲しいと、話してくれた。
あの時の話は正直俺でも、手を持て余すほどの話しやった。それやのに、皐月は常にまっしょうめんから向かっていって、乗り越えてきてた。
「皐月、今度行くご飯屋さんなんて名前やっけ?」
「もーあっくん!昨日も教えた!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!