「皐月、ちょっとええか?」
エイト兄さんたちの追加公演になにわ男子とバック組と着くために楽屋で打ち合わせをしている時、村上くんに呼ばれた。
「お疲れ様です。」
呼ばれて向かったのは楽屋。
メンバー全員が各々の過ごし方で休憩をしていた。
「おー、皐月久しぶりやねー」
と、安田くん。
「あ!皐月やん!」
と錦戸くん。
大倉くんと、横山くんは片手を上げるだけ
「さっつきちゃんじゃないかぁー!元気かーい!?」
とハイテンションに丸山くん。
みんなに笑顔で答えて、引かれた椅子に座ると村上くんが、シュークリームを出てきた
「食べ!なんやスタッフさんから頂いたんやけど、おれどーもシュークリームも気分やないんや」
「あ、いただきます。」
差し出された物に遠慮するなと教えてくれたのは村上くん。有難く頂くと食べ始めたのを見て、村上くんが口を開く
「お前、東京行くんか。」
もう聞いたのか。
「はい。」
「はぁ、そうか。お前の意思は硬いんやな?」
「…はい。」
「な?村上くん、あかんやろ?」
「ほんまやな。この目見たら無理やわ」
大倉くんの言葉に頭をかきながら答える村上くん。
何がなにか分からない。
「いや、すまんな。大倉から全部聞いたんや。タッキーが東京Jrの為に皐月を東京に呼びたがって、皐月が、東京のユニットに入るって。」
なるほど。大倉くんから聞いて、また過保護で心配性なお兄ちゃん方は私に東京行きを辞めるよう説得しようとしたんか。
気がつけば各々過ごしていたエイト兄さん達は私の方を心配そうに見ている。
「…すいません。でも、もう決めたんで。なにわ男子ができて、今関西には居場所がないんです。龍太くんも卒業するし、こうちゃんも東京に行く。自分が東京で必要とされるなら、私は行きます。」
「…たつから、聞いとったけど、お前のその決意の目はほんまに、どーしようも無いな。
タッキーのやろうとしてる事を否定するつもりはない。あいつはあいつなりにジャニーズの為に頑張ろうとしてる。それは、わかってるし俺らもサポートしたいと思っとる。やけど、大事な大事な妹を売ることは出来へん。みんなでそーやって話しとってんけどな」
寂しそうに笑う村上くん。本当に過保護で心配性なお兄ちゃん方や。
いつもちっちゃい時から気にかけてくれてて、東京に行くたびにご飯に連れて行ってくれたり、東京観光に連れて行ってくれたりした。
大好きなお兄ちゃんたち。
「…また、東京に行った時、よろしくお願いします。」
「村上くんに頼んだら、家くらい買ってくれそうやな」
いつもの笑顔で錦戸くんが笑ってくれる。
「当たり前や!皐月を路上で生活させる訳にはいかんからな!」
「誰も多分皐月を路上には放り出さへんやろうけどな」
村上くんの言葉に横山くんがつっこむ
「ふふ、ありがとうございます。じゃ、準備があるので。」
そう言って楽屋を後にした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。