第44話

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2020/08/19 01:22
2日目の昼公演も終わった。

残すは、夜公演、私たちの最終公演のみ。


「大吾には話せたん?」

昼公演終わりから楽屋に戻る道中、心配して寄ってきたのは正門。

「…言えてない。さっき昼公演の前に言おうと思ってんけど、言えへんかった。」

「…言ったりよ?多分ほとんど勘づいてるけど。」

「…そやんな。」

ガッタン!!「大吾!?」

大きな物が倒れる音と、丈の焦った声

正門と慌てて声の方に向かうと、廊下に置いてあった長机と共に倒れて、過呼吸を繰り返す大吾。

「皐月ちゃん!」

みっちーがこっちを向いて叫ぶ。

「ごめんみっちー、ちびっこ達、楽屋連れて行って落ち着かしといて。謙社ときょーへいも!丈!袋!」

「大吾!大吾!しっかり息して!ゆっくりゆっくり!慌てたらあかん!」

暫くして呼吸が落ち着いたら、疲れたのか眠ってしまった大吾。

まだ、夜公演まで時間があるしそのまま楽屋に寝かせておくことになった。大吾の隣で目が覚めるのを待っている時、龍太くんと康ちゃんが楽屋に入ってきた。

「…皐月。これ、ゼリーやらプリンやら大吾が食べれそうなもん買ってきたから、置いとくな?そろそろみんなに話せなあかんねんけど…どうする?」


バタバタしてたから忘れかけてたけど、3人で昼公演が終わったらすぐに、みんなに話そうって言ってたんやった。


「大吾にちょっと話すから、終わったら合流する。20分後くらいに行くわ。」

「わかった。ちゃんと話すんやで?」

心配そうな康ちゃんと、龍太くんに手を振って大吾の方を向く。

疲れきって寝てるのに、起こすのは申し訳ないけど、最終リハも迫ってる。

「…大吾?大吾?起きれる?」

「…んん?……え?」

「ごめんな〜、疲れてるかと思ったけど、あと1時間くらいで最終リハやねん。」

私の言葉に状況が読み込めてない大吾。

「覚えてないか。大吾、昼公演終わってすぐ過呼吸で倒れたんよ?」


「…あ。」

私の言葉にやっと状況が読み込めてきた様子の大吾。

「大吾ごめんな。ほんまにごめん。早く話しとけばよかったよな。」

何も話さなかったけど、、絶対勘づいてた大吾。私が大吾の為と偽って話す決心をしない間散々苦しめて、結局倒れさせてしまった。

「もうちょっとで大吾と出会って8年やな。この8年、色んなことあって、色んな人と別れたり、私らもユニット解散して、バラバラになって…」

私の言葉にもう涙を流す大吾。早いわ。

「私はほんまに大吾に感謝してる。焼け野原やって揶揄された時代、私は丈の優しさに漬け込んで、関ジュから逃げた。」

ジャニーズWESTのデビュー、廉と紫耀の東京行き、残されて不安な大吾たちと、そのお陰で前に出てきた私は、彼らに向き合わないで、外に、funkyに居場所を探した。

「でも、そんな私をいつも笑顔で受け入れてくれて、いつまでも俺のシンメは皐月やって言ってくれて、ほんまに嬉しかった。いっつも大吾が言ってくれるその言葉に助けて貰ってばっかりやった。」

私の言葉に泣きながら首を振る大吾。

「そんなに、そんなに助けてもらったのに、私は大吾に何もお返し出来てないまま、こんなことになって…ごめん。約束、守れへんかった。」

関ジュとして過ごしてきた日々、これからもみんなで一緒に頑張りたかったな。

「滝沢くんからの提案で、東京の、SixTONESに加入することになりました。」

私の言葉に目を見開く大吾。卒業やと思ってたんやろな。

「す、SixTONES?」

驚きすぎて涙止まってるし。

「うん。SixTONES。このあけおめこんが終わったら明日の夕方から東京に行く。家も、村上くんが決めてくれたり、エイト兄さんやジャニーさん、滝沢くんが家具やら揃えてくれた。」

「…そっか。…皐月は、皐月は、それでしんどくない?もう…つらい思いはせんでええん?」

なんで?なんでこんなにこの人は優しいん?
こんなことになるまで話しが出来なかった私に怒らないで、約束破ったのに、それでも私の将来を心配してくれてる。

「…うん。」

だから…だからごめん。最後に嘘つかせて。


「大丈夫!私は私で夢叶えるから!」

大吾が抱きついてきた。

「俺は!俺は絶対、なにわ男子として、夢叶える!色んな人の夢を犠牲にして貰ったチャンスや。皐月がシンメじゃないけど、それでも絶対…絶対デビューする。」

「…やから…やから、皐月もデビューして、いつか、コラボでシンメなろ!」

大吾の泣きながらの宣言に目が覚める。

私の将来が明るいなんて、絶対ないと思ってたから、みんなに嘘ついてるつもりやった。でも、嘘じゃない。

誰がなんと言おうと、滝沢くんやジャニーさんにどんな思惑があろうと、デビューしてやる。

私の選択はまちがいじゃなかったって、いつか証明してやる。



「ありがとう。ありがとう。大吾。」

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