*フィクションです。
「みなと。好きやったよ…」
「何言っとん。きよちゃん…」
「ごめん。。」
「ごめんじゃわからん!」
「もう無理なんよ。もうこれ以上…」
きよちゃんを見ると、なにかに怯えてるように感じた。
「ごめん。みなと…」
別れを切り出した理由を聞けぬまま、清春は部屋を後にした。
きよちゃんは何を隠してるん。
そんなに…何に怯えとるん…
……
部屋に戻ると奴がいた。
「何で泣いてるの?」
「別れてきました。」
「やっとか。あの日から何日たったと思う?」
「わからん」
「ふーん。きよ?」
「分かりません。」
「そうだよね。1ヶ月だよ。僕があげた期間は?」
「1週間です。」
「そう!1週間だよ!3週間もすぎちゃったね。」
「すいません」
「どうする?きよ。もう期限とっくに過ぎちゃった。」
目の前にいるのは可愛い最年少ではなく。
悪魔だった。
「きよ。こっち来て」
小太郎の声とは思えないほどの低いトーンで言う。
何をされるのか…
「嫌だ…」
なんて言える訳もなくて…
「きよ。そこ座って。」
小太郎の指示通りに動く。
「手、出して。」
カチャ
「これでOK」
「きよ。今日は何をしよっか。」
「放置、寸止め、イキ地獄、、うーん…あっ、そうだ…全部塞いじゃおっか。」
「何言っとん…」
「だから、そのクリクリのまん丸のお目目も、この大っきいお猿さんみたいな耳も、このスラッとしたお鼻も。全部塞いじゃおっか」
「嫌や…それだけは嫌や…」
「もう無理だよ。準備しちゃったし。」
「やめてや…」
「誰が悪いと思ってんの。きよがいけないんだよ。」
「小太郎ッ」
「あーもう!動かないで!みんな呼ぶよ!」
「嫌や。でもッ」
「嫌なんでしょ。じゃあ黙って動かないで。」
そして俺は五感のうちの3つを奪われた。
目にはネクタイ
耳にはヘッドフォン
鼻には何やらいい匂いのタオル
俺にはそれ以上の記憶は無い。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。