🌷 side
珍しく真剣な顔で君が口を開いた。
なんとなく聞きたくなくて目を背けかけた。
言わなきゃダメかな?
ずっと隠してきたのに。
あいつはもう居ないのに、
君はそれにも気づかずにそれを聞くの、?
あまりに醜い嫉妬心が渦巻いていく。
友達?ただのクラスメイト?
嘘をついても、きっと君には気づく術もないだろう。
ここで、僕が君の恋人だったと言っても、
君は驚いても信じるだろう。
そんな純粋な心を、汚い僕が汚していいのか?
いや、良いわけがない。
君はなんて言うんだろう。
思ったよりも素直に落ちた真実に君の顔もよく見れなかった。
ずっと隠していた僕を責めるだろうか。
それとも、
初めて見た。
君のそんな顔。
いつもの笑顔が嘘のように、
触れたら壊れそうなほど儚くて、切なげな顔だった。
こんな顔も、うりさんは見た事あるのかなぁ?
いや、無いか。
恋人のこと泣かせるようなやつじゃないし…、
いや。泣かせてるか。
現に、目の前の彼女はあいつのせいで涙目だ。
何を考えているのか分からない。
君もあいつも。
何度も言わせないでよ。
「 君を庇ってね 」なんて言うつもり無かったはずなのに、無意識に溢れ出ていた。
まあ、これも、忘れた君が悪いんだから。
忘れたなら記憶の中のあいつより目の前の僕を見て欲しいなんて。
口が裂けても言えないんだ。
どう頑張っても僕はあいつに敵わないから。
どう頑張っても、何があっても君はあいつに恋するから。
なんでそんな優しい言葉が言えるの?
君を陥れようとした最低人間の僕に。
なんでそんな優しい言葉をかけてくれるの?
君は知らないでしょ。
ひとりの苦しさを。
いや、それは君も同じか。
君も今、ひとりだ。
そして、君が振り向いてくれないことも__
やっぱりあいつには敵わない。
でも、
これでいい。
空白に投げかけた言葉は返事はない。
でも、彼の笑った顔が見えた気がした。
どうせこの恋は叶わない。
君への僕の好意は無駄なのに、
彼への君の好意には価値があるなんて。
不平等だよ。
でも、人の幸せは誰かの不幸からなるものだ。
君と彼が笑うには僕が不幸になるしかない。
僕が幸せになるには、彼が君のどちらかの不幸が必要だったんだ。
僕の好意が君を泣かせたんだね。
でも、もうこれで最後にしたいんだ。
君の泣き顔なんて、もう見たくないんだ。
そして、親友を裏切ろうなんて思いたくもないんだ。
だから、
「 この恋は棒に振ってしまおう __ 」
この恋は棒に振ってしまおう 。 / end













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。