僕らは今、彼女のあの一言で海にいます。
本当は、3人で来るはずだった場所に__
君は何も知らないように無邪気に海を楽しんでいる。
まあ、実際忘れてるのか。
君の髪が太陽と海の光に反射してふわふわ輝いている。
髪の毛だけなのに、彼を想起させてくる。
君といると調子が狂う。
これが恋のせいなのか、彼に似ている君のせいなのか。
僕には分からない。
自分から彼のことを聞いてくれたことが、
無性に嬉しかった。
君が彼に興味を持っていることが嬉しくて。
彼をもしかしたら思い出してくれるかもしれないという希望が見え隠れする。
「君が好きだから言ったんじゃないかな」なんて。
言う僕が辛くなる。
だから口先まででた言葉を押し込んだ。
違うよ。
「 君の事が好きだからだよ。」
なんて。これも声にならなかった。
「 聞きたい!」と言わんがばかりに彼女の瞳がキラキラ輝く。
変なやつで、面白いやつで、おふざけばっかで。
でも根は真面目で、優しい。
一途で、一生懸命で。
絵が上手くて、歌も上手かったな。
あと、よく笑う人。
思い出せば思い出すだけ、溢れてくる。
でも、思い出せば思い出すだけ僕も苦しくなる。
この言葉全部が過去形になるのが辛かった。
そして、君のことが大好きな人。
これが、僕の知ってるあいつ。
笑ってそういう君に、
「 君にとっても大事な人だったんだよ 」とか
言えればよかった。
ほんと、憎めないやつ。
好きな人置いていくなよ。
しかも、庇って死ぬとか。
かっこつけずに一緒に生き残れよ。
そして一生幸せに生きててくれたら_、
それだけで僕もこんな思いしなくてよかったのに。
そう冗談っぽく笑った。
その冗談っぽい顔に、言葉にできない感情が渦巻く。
あいつに恋して欲しくて、
僕はあいつを語ったわけじゃないんだけどな。
本当は、僕に恋して欲しかった なんて。
居なくなっても、忘れてしまっても。
ずーっと君はあいつのことが好きなんだ。
「 僕は君が好き 」なんて。
口が裂けても言えなかった。
この言葉すら、君に届かず空を切る。
ねぇ、うりさん。
僕はどうしたらいいんですか?
答えなんて、いくら待っても返ってこなかった___













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。