まだ眠気の残る体を起こそうとすると、
体が重いことに気がつく。
葛葉は、眠る時によく抱きついてくる癖がある。
「オマエが逃げないようにしてるだけ」って言ってたけど、
そんなことしなくても逃げはしないのに。
さっきよりも強く私を抱きしめ、甘えた声でそう囁く。
いつもなら、葛葉の可愛さに負けて、仲良く二度寝に走るところだけど....
今日は違う。
そう、今日は記念すべき葛葉との初コラボの日。
そう言って葛葉が私の頭を撫でる。
嬉しいけど....
あまりにも撫で方が優しくて....
眠くなってき....
《 慈颯あなた。葛葉の策略により、無事二度寝。》
ーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!