第18話

#17
1,281
2021/06/18 10:27
私は自分の部屋に行って少し考えた
おにいの暗い顔、
仕事で何かあったのかな、それとも…なんだろう…
私を心配してくれてるのはわかる。
だけど私はもうあの時の私じゃないよ
嫌なこと言われても耐えられるようになったし
周りの目は少しだけ気になっちゃうけど
分からないことはメモ帳使ってどんどん聞けるようになったし
おにいはおにいで、私は私でしょ?
だから大丈夫、とりあえず手術は賛成してほしいな…



それからぎこちなく夕飯を食べて
あんまり話さずに
お互いの部屋に行って、また眠りについた
川村壱馬
川村壱馬
はぁ…
あなたも同じことを思ってる
はぁ…
早く誰かと話せるようになりたいな
あんだけ積み重なったメモ帳を卒業するのは寂しいけど
この恋が叶うまで
ひたすら声が聞きたくて
話したくて…
そんなことを思ってたら、朝になってた
トコトコトコトコトコッ
花巻あなた
花巻あなた
「おはよう、おにい」
川村壱馬
川村壱馬
「おはよう」
花巻あなた
花巻あなた
「昨日はごめんね」
川村壱馬
川村壱馬
「俺もごめん」
花巻あなた
花巻あなた
「また詳しい話をしたいから、
またおにいの予定を教えてね」
川村壱馬
川村壱馬
「了解」
花巻あなた
花巻あなた
「今日仕事何時くらいまで?」
川村壱馬
川村壱馬
「今日も夜遅くまでかな」
花巻あなた
花巻あなた
「そっか」
川村壱馬
川村壱馬
「だから夕飯は先に食べてていいよ」
花巻あなた
花巻あなた
「寂しいけど、そうする笑」
川村壱馬
川村壱馬
「わりーな」
花巻あなた
花巻あなた
「ううん、仕事がんばってね」
川村壱馬
川村壱馬
「ありがとっ」
それから壱馬は支度をして、仕事に向かった
私は今日はなにもすることがない
強いて言うなら、洗濯とか掃除とか
今日は雨降ってるし、テンション下がるかなー笑
それから一時間くらい経って、
携帯の画面が光った
佐野玲於
佐野玲於
『今何してる?』
花巻あなた
花巻あなた
『家でゴロゴロしてます笑』
佐野玲於
佐野玲於
『俺今日仕事休みだから、会わない?』
花巻あなた
花巻あなた
『玲於くんお仕事お休みならゆっくりしてた方が…💦』
佐野玲於
佐野玲於
『いやあなたちゃんに会いたいなーって思って』
花巻あなた
花巻あなた
『…私も会いたいです』
佐野玲於
佐野玲於
『雨も止んできたし、外で会う?』
花巻あなた
花巻あなた
『雨止みましたか!』
佐野玲於
佐野玲於
『うん笑』
花巻あなた
花巻あなた
『今からマッハで支度します!!』
佐野玲於
佐野玲於
『そんな急がないでいいよ笑』
佐野玲於
佐野玲於
『30分くらい経ったら迎えに行く』
花巻あなた
花巻あなた
『分かりました!』
佐野玲於
佐野玲於
『じゃまたねー』
花巻あなた
花巻あなた
『はーい😊』
やった…玲於くんと会える…
この気持ちはいつ伝えようかなー…なんてね笑
私は急いで支度をした
服も着替えて、メイクもした
玲於くんはどんな女性がタイプなんだろう
どんなメイクが好みなんだろう
どんな料理が好きなのかな
考えれば考えるほど辛くなって、
でも少しだけ幸せを感じた


そして鞄に、財布、携帯、ポーチ、ハンカチ、メモ帳、ペンを入れて、玲於くんを待った
ピコンッ
また携帯の画面が光った
佐野玲於
佐野玲於
『着いたよー』
花巻あなた
花巻あなた
『はーい!今行きます!』
私は立ち上がって、小走りで玄関へ向かおうとした
トコトコトコトコトコッ
花巻あなた
花巻あなた
(うっ、…)
突然頭が痛くなった
少し立ちくらみもしたけど、
これくらいなら平気でしょって思ったから
気にせずに外に出た
ガチャンッ
佐野玲於
佐野玲於
👋
花巻あなた
花巻あなた
ペコリッ
どこ行くのかな?
佐野玲於
佐野玲於
「あなたちゃんなにが好き?」
ん?玲於くん、私と話せるようにわざわざメモ帳買ってくれたのかな
佐野玲於
佐野玲於
おーい
花巻あなた
花巻あなた
ビクッ
佐野玲於
佐野玲於
「なんか好きなものある?」
花巻あなた
花巻あなた
「んー、美味しいケーキが好きです笑」
私もメモ帳を取り出して、そう書いた
佐野玲於
佐野玲於
笑笑
佐野玲於
佐野玲於
「今なんか全部の部屋が個室になってるケーキ屋さんがあるらしいんだって」
花巻あなた
花巻あなた
「へぇ~」
佐野玲於
佐野玲於
「だからそこ行こうよ!」
佐野玲於
佐野玲於
「そうすれば俺もバレないし、あなたちゃんも人目気にすることないでしょ?」
花巻あなた
花巻あなた
「わざわざすみません💦」
佐野玲於
佐野玲於
「いいのいいの」
佐野玲於
佐野玲於
「ここからタクシーで15分くらいかな」
花巻あなた
花巻あなた
「楽しみです😊」
佐野玲於
佐野玲於
「なにケーキが好きなの?」
花巻あなた
花巻あなた
「チョコ系が好きです笑
あとマカロンとかも!笑」
佐野玲於
佐野玲於
「オッケー笑」
佐野玲於
佐野玲於
「今日はごちそうするわ笑」
花巻あなた
花巻あなた
「え~ありがとうございます!」
佐野玲於
佐野玲於
いこ~
花巻あなた
花巻あなた
はい😊
そしてタクシーに乗って、ケーキ屋さんに行った
ほんとに全面個室で、
注文はタッチパネルだった
色んな種類のケーキがあって、
お持ち帰りもできるらしい!
だからおにいにケーキ買って帰ろうと思う🎶
おにいなんのケーキが好きなのかな~
これでちょっとは仲直りできるかな~
佐野玲於
佐野玲於
「あっそうだ」
花巻あなた
花巻あなた
???
佐野玲於
佐野玲於
「昨日ごめんね」
花巻あなた
花巻あなた
「昨日?」
佐野玲於
佐野玲於
「ほら病院」
花巻あなた
花巻あなた
「あっいえいえ!大丈夫ですよ!」
佐野玲於
佐野玲於
「それでどうだった?」
花巻あなた
花巻あなた
「私の耳、手術をすれば聞こえるようになるなるらしいんです」
佐野玲於
佐野玲於
「えっほんと?」
花巻あなた
花巻あなた
コクリッ
花巻あなた
花巻あなた
「だけど、その手術にはリスクがあって、もし上手くいかなかったら、若くして余命が課せられるらしいです」
佐野玲於
佐野玲於
「そうなんだ…」
花巻あなた
花巻あなた
「私は受けたいんです」
佐野玲於
佐野玲於
「怖くないの?」
花巻あなた
花巻あなた
「怖いです」
佐野玲於
佐野玲於
「じゃあなんで?」
花巻あなた
花巻あなた
「私、GENEが好きで、だけど耳が聞こえないから音が聞こえなくて、目で見ることしかできなくて、そんな中で玲於くんと出会って、話していくうちに玲於くんの声を聞きたいなって」
佐野玲於
佐野玲於
「俺もあなたちゃんの声聞いてみたいな」
一瞬ドキッとした
花巻あなた
花巻あなた
「その手術は大阪の方で行われるみたいで、詳しい話を聞くのに今度おにいと一緒に病院へ行きます」
佐野玲於
佐野玲於
「あなたちゃんって強がりだよな」
花巻あなた
花巻あなた
???
佐野玲於
佐野玲於
「辛いときは辛いって言っていいんだよ」
佐野玲於
佐野玲於
「俺になんでも話して、相談役になるからさ笑」
花巻あなた
花巻あなた
「相談役じゃたりないです」
佐野玲於
佐野玲於
「どういうこと?」
ん?あっ、私やってんだろ💦
花巻あなた
花巻あなた
「あっすみません、今のは忘れてください…」
佐野玲於
佐野玲於
「…分かった」
あー嫌われないかなー…
おにい以外とはもうぎこちなくなりたくないし
佐野玲於
佐野玲於
「とにかくまた教えて」
花巻あなた
花巻あなた
「分かりました」
佐野玲於
佐野玲於
「体調は平気なの?」
花巻あなた
花巻あなた
「バッチリです笑」
佐野玲於
佐野玲於
「そっか、よかった笑」
嘘をついた
だけど、玲於くんが笑ってるから、いいや…

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