私は自分の部屋に行って少し考えた
おにいの暗い顔、
仕事で何かあったのかな、それとも…なんだろう…
私を心配してくれてるのはわかる。
だけど私はもうあの時の私じゃないよ
嫌なこと言われても耐えられるようになったし
周りの目は少しだけ気になっちゃうけど
分からないことはメモ帳使ってどんどん聞けるようになったし
おにいはおにいで、私は私でしょ?
だから大丈夫、とりあえず手術は賛成してほしいな…
それからぎこちなく夕飯を食べて
あんまり話さずに
お互いの部屋に行って、また眠りについた
あなたも同じことを思ってる
はぁ…
早く誰かと話せるようになりたいな
あんだけ積み重なったメモ帳を卒業するのは寂しいけど
この恋が叶うまで
ひたすら声が聞きたくて
話したくて…
そんなことを思ってたら、朝になってた
トコトコトコトコトコッ
それから壱馬は支度をして、仕事に向かった
私は今日はなにもすることがない
強いて言うなら、洗濯とか掃除とか
今日は雨降ってるし、テンション下がるかなー笑
それから一時間くらい経って、
携帯の画面が光った
やった…玲於くんと会える…
この気持ちはいつ伝えようかなー…なんてね笑
私は急いで支度をした
服も着替えて、メイクもした
玲於くんはどんな女性がタイプなんだろう
どんなメイクが好みなんだろう
どんな料理が好きなのかな
考えれば考えるほど辛くなって、
でも少しだけ幸せを感じた
そして鞄に、財布、携帯、ポーチ、ハンカチ、メモ帳、ペンを入れて、玲於くんを待った
ピコンッ
また携帯の画面が光った
私は立ち上がって、小走りで玄関へ向かおうとした
トコトコトコトコトコッ
突然頭が痛くなった
少し立ちくらみもしたけど、
これくらいなら平気でしょって思ったから
気にせずに外に出た
ガチャンッ
どこ行くのかな?
ん?玲於くん、私と話せるようにわざわざメモ帳買ってくれたのかな
私もメモ帳を取り出して、そう書いた
そしてタクシーに乗って、ケーキ屋さんに行った
ほんとに全面個室で、
注文はタッチパネルだった
色んな種類のケーキがあって、
お持ち帰りもできるらしい!
だからおにいにケーキ買って帰ろうと思う🎶
おにいなんのケーキが好きなのかな~
これでちょっとは仲直りできるかな~
一瞬ドキッとした
ん?あっ、私やってんだろ💦
あー嫌われないかなー…
おにい以外とはもうぎこちなくなりたくないし
嘘をついた
だけど、玲於くんが笑ってるから、いいや…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!