第6話

#5
2,042
2021/06/06 01:43
車に揺られること数十分、おにいの家に到着した
おにいが反対のドアにまわってきてくれて、
そっと手を差し伸べてくれた。
花巻あなた
花巻あなた
ありがとう😊
私は口パクでおにいにそう言った
川村壱馬
川村壱馬
どういたしまして👍
おにいも口パクで返してくれた
おにいは私の荷物も持ってるのに
さらに私を支えながら一緒に歩いてくれた


おにいが鍵を開けて、家に入る
おいでと私を手招きした
口パクで「お邪魔しまーす」と言い、 
靴を脱いで、家にあがった
するとおにいはメモ用紙を取ってきてなにかを書き始めた
花巻あなた
花巻あなた
???
川村壱馬
川村壱馬
「今お邪魔しまーすって言ったやろ笑」
花巻あなた
花巻あなた
「うん?笑」
私もその紙に書き答えた
川村壱馬
川村壱馬
「今日からあなたの家でもあるんやから笑
お邪魔しますじゃなくて、ただいまな笑」
花巻あなた
花巻あなた
「あっそっか笑」
川村壱馬
川村壱馬
「はい、やり直し!笑」
花巻あなた
花巻あなた
ただいま…?
口パクでそう言った
川村壱馬
川村壱馬
おかえり?笑
おにいも笑いながら返してくれた
川村壱馬
川村壱馬
笑笑
花巻あなた
花巻あなた
笑笑
川村壱馬
川村壱馬
「今からあなたの部屋案内する」
花巻あなた
花巻あなた
「はーい」
川村壱馬
川村壱馬
笑笑
花巻あなた
花巻あなた
笑笑
花巻あなた
花巻あなた
「なに?笑」
川村壱馬
川村壱馬
「なんでもない笑」
そしておにいに案内された部屋は意外に広かった
家具はベッドだけで、あとは棚があって、
花巻あなた
花巻あなた
「ここが私の部屋?」
川村壱馬
川村壱馬
「そうやでー」
花巻あなた
花巻あなた
「ありがとう!」
川村壱馬
川村壱馬
「あなたのためにベッド用意したんやから笑
感謝しろよ?笑」
花巻あなた
花巻あなた
「はいはい笑」
川村壱馬
川村壱馬
「はいは一回やろ!笑」
花巻あなた
花巻あなた
「はーい笑」
川村壱馬
川村壱馬
笑笑笑笑
あなたも軽く微笑む
川村壱馬
川村壱馬
「自分の荷物は勝手に収納しちゃってください笑」
花巻あなた
花巻あなた
👌
一度、自分の部屋に一人になった
荷物の片付けをして、
あっそうそう、一回やってみたいことがあった
くだらないけど、
ベッドにダーイブ!
新しい布団の匂いってなんかいいよね笑



私はベッドに仰向けになった
昔から、一人の時に目を瞑ってるとあの時を思い出してしまう
事故の時のあの衝撃が今でもはっきりと

車と車が急にぶつかって、
その衝撃で後部座席でシートベルトをしていなかった弟は運転席の方に身を投げ出された
私はシートベルトをしてたけど
身を乗り出すことはなかったけど
衝撃で窓ガラスに頭と耳をすごい勢いでぶつけて…
耳がキーンってなってさ、痛かった

耳が聞こえなくなったのはその時の衝撃


私は苦しかったからシートベルトを外したんだけど、
今考えたら外さない方が良かったのかもしれない


割れたガラスで腕を切った
痛さとびっくりで私は泣きじゃなくった

血が溢れるその光景を
今でもちゃんと覚えている

お母さんとお父さんはもう反応しなかった

私が必死に叫んだけど
両親はびくともせず、もう即死だったんだなって


それから救急隊の人が来て、
家族全員を救助したらしい

その時には私は意識を失っていた


相手の車の人は捕まったらしいけど


あーあ、そんな事考えてたら涙出てきた


枕を濡らした涙
あの衝撃はいつまで経っても忘れない


その時、ちょうどおにいが入ってきた
川村壱馬
川村壱馬
あなた夕h…どうした?
私はいきなり入ってきたおにいにびっくりしながらも
頬に伝った涙を手で拭った
川村壱馬
川村壱馬
どうした?
音では伝わらなくても
心配してくれてる様子は伝わってきた
川村壱馬
川村壱馬
「あなた?どうした?」
ベッドの上のメモ帳を壱馬が手に取り、書き出した
花巻あなた
花巻あなた
「なんでもないよ」
川村壱馬
川村壱馬
「いや泣いてたし、どうした?」
私はおにいの優しさにまた涙した
私から隣に座るおにいにそっと抱きついた
川村壱馬
川村壱馬
あなた?
目を瞑ったら涙がたくさん頬に伝いそうで、
淡い瞬きしかできない…
あなたは壱馬の服の裾を強く握りしめた
壱馬も気付いたのか、
あなたの背中をとんとんと優しく慰めながら頭を撫でた
その優しさで私は涙した
今はなんでもいいから、私はおにいの優しさを求めてた
そこから数十秒、涙を流した
少し落ち着いたから、自分から離れた
久々にこんなに泣いた
花巻あなた
花巻あなた
「ごめんね」
川村壱馬
川村壱馬
「謝らないの」
花巻あなた
花巻あなた
「うん」
川村壱馬
川村壱馬
「少し落ち着いた?」
花巻あなた
花巻あなた
「落ち着いた、ありがとう」
川村壱馬
川村壱馬
「夕飯、どうする?」
花巻あなた
花巻あなた
「それで部屋来たの?」
川村壱馬
川村壱馬
「そうそう」
花巻あなた
花巻あなた
「何食べるつもりだった?」
川村壱馬
川村壱馬
「適当に?笑」
花巻あなた
花巻あなた
「ダメだよ!適当じゃ!」
花巻あなた
花巻あなた
「食材何がある?」
川村壱馬
川村壱馬
「まぁまぁ揃ってるけど…」
川村壱馬
川村壱馬
「もしかしてあなた作る気?」
花巻あなた
花巻あなた
「えっ、うん」
川村壱馬
川村壱馬
「危ない」
花巻あなた
花巻あなた
「え?」
川村壱馬
川村壱馬
「料理は危ない、あなたにはやらせない」
花巻あなた
花巻あなた
「えー…」
川村壱馬
川村壱馬
「えーじゃない!」
花巻あなた
花巻あなた
「わかった」
川村壱馬
川村壱馬
「俺があなたの分まで作るから」
花巻あなた
花巻あなた
「あれおにい料理できたっけ?」
川村壱馬
川村壱馬
「がんばって作るわ笑」
花巻あなた
花巻あなた
「なんか怖い笑」
川村壱馬
川村壱馬
「とりあえずあなたは先にシャワー浴びてきな」
花巻あなた
花巻あなた
「シャワーどこ?」
川村壱馬
川村壱馬
あっ笑
そして壱馬があなたを案内した
花巻あなた
花巻あなた
ありがとう😊
口パクでそう言った
川村壱馬
川村壱馬
👋
花巻あなた
花巻あなた
👋
扉が閉まった
服を脱ぐと、右腕に傷跡が
やだな…これは誰にも見られたくない


またそんなことを考えながらシャワーを浴びた

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