それから数時間後、おにいが帰ってきた
なんとなく安心するこの声と
なんとなく安心するこの香り
笑いながらお風呂場へ向かうおにいを
私も笑いながら、私はリビングへ向かった
…あれ…なんか…
急に目の前が歪み出した
私このまま倒れちゃったりするのかな…
そう思うと、すごく怖くなってきた
でも目の前が歪むだけで
頭が痛いとか
胸が痛いとか
そんなことはなかった
数分経って、気付いたらそれは自然と治まってた
おにいがゆっくり私に近づく
すると
ペチンッ
おにいが私に軽いデコピンをしてきた
それからご飯も食べて
食後のアイスを食べながらソファーでゆったりとしていた
おにいが笑いながら私の頭をポンポンとした
するとおにいは小走りで逃げるように自分の部屋へと入っていった
それから数十分経って、私も眠くなってきたなら自分のベッドに入った
んー、暖かい布団
いつか横に玲於くんが寝る日でも来るのかな
そんなこと想像したらニヤけてた私
もうやだ笑
今が幸せすぎて
ちょっと怖いくらいだけど
この幸せが終わらないように
この幸せを失わないように
玲於くんを愛していたい
気付いたら、夢の中で玲於くんと笑ってて、
また気付いたら、大音量の目覚ましに起こされた
リビングに行くと「行ってくる」の置き手紙があった
「いってらっしゃーい」
なんて呟いてもみた
おにいも忙しいんだね
体調崩さないでほしいな
今日玲於くんもお仕事だよね
一言、メッセージ送ろうかな
そう送った
だけど…
そのメッセージに既読はつかなかった
一時間おきに確認しても
確認しても
既読になってくれなかった
大丈夫
きっと大丈夫
玲於くんは忙しいスーパースターだもん
こんなことでいちいち心配してたら
だめだもん
ね…
それから夜になって、やっと既読がついたけど、
返信が来なかった
そして昨日みたいにおにいが帰ってくる
すぐに心配してくれるおにいには
あんまり話したくなかった
昨日と同じ、デジャブみたい
一人でも誰かに満たされていないだけで
こんなに孤独を感じたのは初めて
きっと忙しいんだ、連絡も取れないほど
私はそう信じて、数日を過ごした
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。