壱馬の言葉に少し沈黙が続いた
静かな部屋に男同士のあなたの認めあい
すると玲於はいきなり立ち上がった
壱馬は玲於に頭を下げた
その目には涙を浮かばせながら
この「頼みます」には
色々な願いがこもっている
それをちゃんと玲於は理解した
玲於はいきよいよく家を飛び出していった
一応変装しながらも
あなたのもとへと向かう玲於の姿はかっこよかった
今ならまだ間に合うはず
お互い違うとこから向かっても
玲於は必ずあなたに会いに行く
待っててなあなたちゃん
もうちょっとで着くから
一方その頃、あなたは…
うわぁ、少しの間しか向こうにいなかったのに
三年ぶりくらいに帰ってきた感じがする
私はバッグと大きなケースで地元に帰ってきた
お母さんに会うわけでもないのに
ウキウキしてる
それはなぜかって
手術、
うまくいったら幸せになれる
そう思っていた
なにやら三人組が私に近づいてくるけど…
え、…うそやろ
なにを言ってるか分からないけど
多分またこいつら私をからかってくる気だ
こいつらさ、私のことなんにも知らないもんね
私が川村壱馬の妹だってこと
佐野玲於の彼女だってこと
ちょっとここらでいばってみるか
驚いてる
これはどっちの驚き?
そう書いた
私のメモ帳を落とされたけど
私はそのメモ帳を何食わぬ顔で拾って、また書いた
それを書いた瞬間、突き飛ばされた
いった…
くっそ…
ふざけんn…
えっ…うそ…
やっぱり私には…あなたしかいない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!